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不思議の王国の奇妙な錬金術師  作者: えのころ
vol.1 便利屋ゼルトザームの事件簿
2/2

case2 会議は踊る、されど進まず?

第2話です。経営会議開始

 翌朝、便利屋ゼルトザームの社員たちはオフィスの会議室に集結し、机を囲んでいた。


「えーでは、全員そろっているようですね。では、便利屋ゼルトザームによる経営会議を開きます」


 右手に栗色に輝く万年筆、左手に気の抜けるような鳥が描かれたノートを持ったルドルフは社員たちを見つめる。セリアは【専務専用】と書かれた濃い緑色のふわったしたクッションが置かれた椅子に座り、ルカスの入った筒を握っている。


「きゅむ!きゅむ!」


 机の上には便利屋ゼルトザームの平社員、マリーがその手を広げて存在をアピールしている。


「…マリー、椅子に座るように」


 ルドルフはマリーを優しく抱き上げると小さな椅子の上に座らせた。ヴェロニカはルドルフに向けてにこやかに両手を振る。


「で、では本題に入ります。便利屋ゼルトザームはこのところ、大きく依頼が増えることも、減ることもないわけですが…、もっと依頼を増やし、懐を潤していきたい。私はそう思うわけですが…。皆さん、何か案はあるでしょうか?」


 ルドルフは本題を切り出すと、周りを見回した。間髪入れずにセリアが挙手する。


「えー、では、セリア専務」

「うん、略奪一択、許可証あるからね」


セリアの発言にルドルフは一瞬凍り付く。便利屋のあるヴァルト王国には、国からの審査を受け、審査を通ったものに、悪人からの略奪や、どうしようもない極悪人の殺害が許可される許可証があり、便利屋ゼルトザームの社員たちも許可証を所持している。


「い、いや…確かにだけど、それをやりすぎるとそれは目を付けられかねないし…第一、君にそういったことをしていい相手としてはいけない相手の区別は…つくのか…?」


ルドルフが質問をすると、セリアは一瞬言葉に詰まる。


「少なくともセリアには…任せられないかなあ…それよりも、わたしも案があるんだけど…」

「はい、ヴェロニカ顧問」

「今までは依頼者からの依頼に合わせて調合をしていたんだよね?なら、依頼が来てない時でも調合した品物を売るようにしてみたら?」


セリアと比べてはるかにまともな案が出て、ルドルフは面食らった表情になる。


「た、たしかにそれはアリ…ですけど、しかし…どんなものをどれだけそろえればいいか…」

「過去にあった依頼を洗い出して、そこからどういう事情でどういう依頼が来たかを分析し、需要がありそうなものを中心に調合しておくのよ。まず、薬はいくらあっても困らないし、ここは鉱山の村。発破用の爆弾なんかの調合の依頼もあったりしたんじゃない?」

「ふ、ふむふむ…」


ヴェロニカの案を聞いたルドルフは頷きつつ、メモを取る。


「薬や爆弾もそうだけど、もーっといいものを作れるの知ってるからね、例えば…かわいい人形、とか」


セリアがにやにやしながら言うとルドルフが早歩きでセリアのもとに向かう。


「…何の話だ?」

「やだなー、てかもう社員は全員知ってると思うよ?恥ずかしがらないの。てか、お兄様の"ホムンクルスちゃん"を見れば一目瞭然じゃない?」


セリアがマリーを一瞥する。マルーン色の髪、深紅と黒を基調としたロリータ風衣装…目の下のクマはやや病的に映るものの、多くの人がマリーの姿を見るとかわいい、という感想を抱くだろうか。


「い、いやあ、まあ…そうだけども…」

「それに、実用的なものばかりじゃなく、かわいい人形とかも需要はあると思うんだよね」


セリアが続けると、ルドルフはなにも言えないようであった。


「…それは、うん、やるけども…そうなると調合の人手が…」

「心配ないよ。これからはわたしも調合に携わるからねえ」


ルドルフが懸念点を口にすると、ヴェロニカはルドルフの懸念点を吹き飛ばすかのように言った。


「そうだなあ、となると、ルカス君、君には得意の変化の術を使って、接客をしてもらうからね」


ルドルフはセリアが持っている筒に声をかけると、筒からルカスが飛び出し、煙に包まれた。


「これでいいんだよね?」


煙が晴れるとそこには銀髪に狐耳、狐の尻尾が特徴の美少女メイドがいた。ルドルフは無言でうなづいた。


「キヒヒヒ、いい趣味してるねお兄さま。それじゃ、そうだね。人手に関してはのちのち考えるとして、今はこういう感じでいいと思うよ。だけど…調合の頻度が上がって、忙しくなるとはおもうけど、大丈夫かな」

「大丈夫だ。そもそも睡眠時間が減る心配をするほど眠れていない」


セリアの問いかけに対し、ルドルフはそう答える。目の下のクマがなによりもそれを物語っていた。

こうして、今回の経営会議は幕を閉じた。会議が終わるとルドルフとヴェロニカは貯蔵していた材料の確認と需要が特に大きそうな薬や爆弾の調合に取り掛かった。マリーは二人の補助をしている。


「ええと、よし、あと数分でポーションが…4つ、仕上がる」

「こっちはまだしばらくかかりそうね…マリーちゃん、棚からあの赤い結晶を取ってきてくれるかしら?」

「きゅむ!」


「ええと、今の売り上げはと…」


ルカスは店頭に立ち、客の応対をする。


「窃盗犯さんいらっしゃーい♪」

「う、うああああああ!!!!」


セリアは手配犯を捕縛してはヴァルト王国の王城へ引き渡していった。そのうえで、依頼の処理もしていかないといけない。特にルドルフの疲労はたまっていく一方であった。


「……人手不足…なんか考えとかないと…でもどうしようか…」


会議から約5日ほど経ったころ。店頭に並べる商品の調合、依頼の遂行、それらを作るための材料の採取といった業務に追われながら、オフィス前の掃除をしていた。そのとき


「あ、あの…ルドルフさん?」


聞こえぼ絵のある声に呼びかけられた。声の方を振り向くと、そこにはルチナと、その姉が立っていた。


「ルチナくんにクリセルダくんか…どうしたんだ?依頼、かな?」


ルドルフが返答すると、ルチナは言葉に詰まり、おどおどとしている。


「ルチナちゃん、言わなきゃ!」


クリセルダがルチナに促すと、ルチナは一呼吸おき、ルドルフの方をじっと見つめる。


「る、ルドルフさん!錬金術を教えてください!!」

さて、今回短めだったかもですが…どうでしたか?

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