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普通はこうなるよね

作者: こうじ

 ステロア貴族学院の卒業記念パーティーの会場である大講堂には既に参加者がほぼ集まっていた。


 その参加者達の話題は今日行われるかもしれない婚約破棄である。


 リッスル・グランバーグ王太子が婚約者であるセリア・ライナーズ公爵令嬢に婚約破棄を宣言する。


 そんな噂がだいぶ前から学院内を飛び交っていた。


 リッスルは最近お気に入りの男爵令嬢が出来たみたいで側近達と親しげにしている所を目撃されている。


『これは婚約破棄目前じゃないのか?』


『でも男爵令嬢が王妃になるなんてあり得るのか?』


『息子大好きな国王だったらそんな無茶も通すんじゃないのか?』


『そんな事になったら大変な事になるぞ』


 婚約破棄については好意的否定的も半々である。


 そんな好奇な視線を集めているのは1人でやって来たセリアである。


 本来ならばエスコート相手がいるはずなのだがセリアは1人で入場してきた。


 その様子は特にいつもと変わらず友人達と楽しげに会話を交わしている。


 しかし、パーティーが始まる時間になってもリッスル王太子と男爵令嬢達が入ってこない。


 本来ならば生徒会長であるリッスルの挨拶で始まるのだがこれでは始める事が出来ない。


 と、壇上に上がった人物がいた。


 セリアである。


 セリアはマイクを手に取った。


「お集まりの卒業生の方々、本日は卒業おめでとうございます。 本来ならばリッスル王太子が開会の挨拶をする予定でしたが代行として私が開会の挨拶をいたします」


 セリアの発言にちょっとザワついたのだが更にザワつく事をセリアは発言した。


「それから私事で恐縮ですが本日をもちましてリッスル王太子との婚約が解消された事をご報告いたします」


 突然のセリアの報告に会場内はどよめいた。


 セリアの報告は更に続く。


「それに伴いましてリッスル王太子、いえ王子は王太子の座及び王位継承権を剥奪、側近候補の皆様方も各家から勘当処分を受けました。 理由は日頃の行いの悪さで陛下は厳しい処分を下しました。 皆様方もこれから貴族社会に出れば誰が見ているかわかりません、自分を律し襟を正して行動する様に勤めてください、それではパーティーを始めましょう」


 セリアはお辞儀して壇上を去った、しかし参加者達はパーティーを楽しむどころでは無かった。


 え、どういう事?


 王太子達、処分されちゃったの?


 もしかして公爵家が動いたのか?


 パーティーは表向きは何事も無い様に進んでいったが内心は参加者達の内心は嵐が吹き荒んでいた。


 多分そう思っているんだろうなぁ、とセリアは会場の隅で目立たない様にいた。


(まぁあんなに堂々としていればそりゃ私だってわかるわよ)


 王太子達は人の目を気にする事なく堂々とイチャイチャしていた。


 当然セリアも目撃していた、そして婚約破棄を計画している事もわかってしまった。


 わかってしまったらそりゃ対策を取るのは当然の話で。


 王太子の有責の証拠を密かに集めて父親である公爵に提出、後は父親に丸投げした。


 そもそもこの婚約は王家から頼まれたから受けた訳で公爵家からしてみれば特に旨味なんて無い。


 別に権力とか興味無いし娘命の公爵なので、『万が一セリアを傷つけた場合は責任を取らせる』と婚約時に一筆書いてもらった。


 だからこそ父親に証拠を見せた時、『よっしゃあ! あのクソガキを地獄に送ってやる!』とガッツポーズを見せたのだ。


 で、国王との話し合いに望んで無事に解消となった。


 因みに浮気相手の男爵令嬢だがこれも父親が手を回した結果、勘当され平民墜ちになっている。


(やるからには目立たず騒がすが一番よね)


   





 

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