人生に幸せがあるのなら
「はあ...はあ....!」
私は逃げる。大人たちから。
「誰か!助けてください!」
私は叫んだ。
でも、誰も助けてくれない。
誰も気にしてくれやしない。
「誰か!誰か!」
ボロボロになった布を縫い合わせただけの服が風に揺れる。
私は、和族。それに加えて、獣人だ。
人類カーストが世界で一番低い種族、そして人種。
髪が黒いから、瞳が黒いから、猫耳が生えてるから、尻尾が生えてるから。たったそれだけの理由だけで、私は差別を受けてきた。
どうして、誰も助けてくれないの...?
どうして....
だんだんと足が止まっていく。
私は思いついた。
そっか...人類が滅べば....もう苦しまなくて済むんだ...
どうして今まで思いつかなかったんだろう...
こんなに単純なことなのに...