弟が生まれました
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
神殿で祈った日からまもなく、ついにその日がきた。
それは母と私で夕飯後洗い物をしていた時だった。
隣でお皿を洗っていた母が、急に動きを止めた。
「どうしたの?お母さん?」
母は額に汗を滲ませながら、引き攣った笑顔で私に言った。
「どうやら赤ちゃんが生まれるみたい。お店に行ってお父さんを呼んでくれる?」
父は夕食後、店に残った仕事を片付けに行ったのだ。
「わかった!お母さんは横になってて」
私はそういうと、店に向かって駆け出した。
バタンとドアを開けて、閉店後の店に入り、大声で叫んだ。
「お父さん!赤ちゃん生まれそう!」
父が慌てて駆け寄ってくる。
「何!それは大変だ!お父さんはニーナさんと産婆さん呼んでくるから、ソフィアはお母さんに付いててくれるか?」
産婆さんとはお産を手伝ってくれる助産師さんのようなものだ。
「わかった!」
私は急いで母の元に戻った。
母はソファで横になって痛みを堪えていた。
「お母さん、今お父さんがニーナさん達を呼びに行ったからね。心配いらないからね」
「ありがとう、ソフィア。頼りになるわね」
荒い息をしながらも母は私に心配かけまいとしてか笑って見せた。
しばらくするとニーナさんとお父さんがやってきて、続いて産婆さんとジェイコブが到着した。
「マリナ、もう心配いらないよ。すぐに赤ちゃんに会えるよ」
産婆さんはそういうとテキパキと準備を始めた。
「まずタライに沸かしたお湯を入れて。それとマリナの汗を拭いて、冷たい飲み物を」
「マリナ、ベッドに移動できるかい?」
ニーナさんがそういうと、母はコクンと頷いた。
「お父さん支えてあげて、お湯は私が準備するから」
「わかった。頼む、ソフィア」
母が寝室に移動して、私はタライに水魔法と火魔法でお湯を準備した。
「へえ?便利なもんだ」
あ?ジェイコブさんの前で普通に魔法使ってしまった。
しかしジェイコブさんは4属性のことを知っているし、今はそれどころじゃない。
それからすぐに父が寝室から出てきた。
「男は邪魔だって…」
こんな時に私達はただ祈るのみだ。
まぁ女神様からは大丈夫とお墨付きをもらっているが。
何も手につかず、3人で部屋をウロウロしてどれくらいたっただろうか。
「オギャー!オギャー!」
と元気な泣き声が聞こえてきた。
「「「生まれた!」」」
間も無く、ニーナさんが赤ちゃんを連れて部屋から出てきた。
「元気な男の子が無事生まれたよ。マリナも大丈夫だ」
「やったあー」
赤ちゃんはまだ目は開いてないが、髪は女神様の言った通りのブロンドで、真っ赤ですごく小さい。
「小さい…」
私が思わず呟くと、
「ソフィアはもっと小さかったんだよ」
と父が私の頭を撫でた。
「さあ、今日の一番頑張ったマリナを褒めてやんな」
ニーナさんに言われて寝室に入ると、汗だくで真っ赤な顔の母が笑った。
「クリス、ソフィア、男の子だったね」
私は思わず母に駆け寄った。
「お母さん、大丈夫?疲れたでしょ?」
「そりゃあ人間1人この世に産んだんだもの。疲れたよ。でもすごく幸せ」
そう言って母は満面の笑顔を見せた。
「マリナ、頑張ってくれてありがとう。お疲れ様」
父がそう声をかけた。
私のこともそうやって産んでくれたんだ。
お母さんってすごいな。
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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