救助
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
少し時は遡る。
「あれは…誘拐じゃないか?」
ぐったりしたハニーブロンドの少女を乱暴に抱えて、店から足早に立ち去った男3人の様子を見ていた少年がいた。
プラチナブロンドの髪を短く刈り上げ、深いグリーンの瞳の活発そうな美少年だ。
少年は、ぐったりした女の子に向かって、微かに光る何かを飛ばした。
追うべきか迷っていると、店の中から身なりの良さそうな男が慌てて出てきた。
「ソフィア!ソフィアどこだ!」
「もしかしてハニーブロンドの女の子?」
「少年!ソフィアを見たのか?どこに行った?」
「その子なら男3人に抱えられてあっちの方に連れて行かれた」
「何!?こうしちゃいられない、ソフィアを助けないと」
「警備隊のところまで一緒にきてくれるか?」
「わかった!」
2人は警備隊の詰所に駆け込み事情を話した。
「最近この町では幼い少女を誘拐する事件が多発しているのです。すぐ上の者に連絡を取ります」
しばらくして、警備隊の隊長副隊長の2人と、黒髪と紫の瞳の青年がやってきた。
「私はこの街の警備隊隊長です。こちらは隣国ランベール王国からいらした、モントン伯爵です。モントン伯爵も妹さんを連れ去られたので一緒に話を聞かせてもらいます」
「初めまして、私はロイド商会会長をしております、クリストファー=ロイドと申します」
「こちらは我が娘が攫われるところを目撃したシエルくんです」
「詳しく聞かせてくれるかい?」
クリストファーとシエルから詳しく状況を聞き、警備隊長は話始めた。
「実は人身売買の闇組織がこの街で活動していることがわかり、捜査を進めているところなのです。ですがアジトを見つけてもすでに蛻の殻と言う状況が続いていて…」
「クロエはすでに攫われてから2日経っている!はやく助けださなければ」
「ソフィア!どうか無事でいてくれ」
「何か決定打があれば…」
大人たちが項垂れる中、シエル少年がそろそろと手を挙げた。
「あの…オレ、ソフィアという子にサーチの魔法をつけたから、場所がわかるよ」
「「「なんだって!!」」」
すごい形相の大人達に一斉に振り向かれて、シエル少年は怯んだ。
時は戻り、ソフィア達は食事をとり、励まし合って救助を待っていた。
「あら?ソフィア何か背中に光るものがついているわ」
「え?なんだろ?」
「うーん、取れないみたいですわ」
とクロエ。
「それにしてもソフィアは一番小さいのに落ち着いててえらいね」
とアイシャ。
「まぁ誘拐は3回目だからね」
私が答えると、
「3回…」
「大変なんだね…」
モリーとスカーレットが驚くと、クロエが労わるようにナデナデしてくる。
「いつもすぐ助けてもらってるから大丈夫だよ。きっと今回もすぐに助けがくるよ」
「そうね、お兄様も絶対私を見つけてくれるわ」
とクロエ。
「クロエ様はお兄様がいるのですか?」
「こんな状況を共にしているのだもの、敬語は不要よ」
「お兄様は優しくて、すごく強いのよ。それにとってもかっこいいの」
クロエの男性版と考えるとかなりカッコ良さそうだ。
その時、外が急に騒がしくなった。
「あ、ひょっとして助けが来たかも」
と私が言うと、
「やったー!」
「助かった」
と皆も笑顔が戻った。
気が緩んだその時、バタンとドアが開いて、誘拐犯の1人が入ってきた。
「お前たち、全員こっちにこい!」
人質にでもするつもりか、手にはナイフを持っている。
「「キャー」」
私達は部屋の反対の隅に固まった。
「ウインド!」
私は咄嗟に犯人に向かって風魔法を唱えた。
「くっ!」
犯人は風の力で壁に押さえつけられて、ナイフを落とした。
バタバタと沢山の足音がして、どうやら警備隊らしき人たちがやってきたらしい。
「クロエ!クロエ、無事か!」
「あっ!お兄様!ここです!」
ドアがバンと開いて、剣を持った黒髪の青年と警備兵たちが入ってきた。
「クロエ!」
「お兄様!」
クロエがお兄様に向かって走り出す。
犯人を抑えていた風魔法を止めると、犯人は気を失っていた。
「これは…君がやったのかい?」
「さあ?」
警備隊の人に聞かれたけれど、とりあえずとぼけてみよう。
「ソフィア!無事か!」
「あっ、お父さん!」
心配そうな父が入ってきた。
「ソフィア!無事で良かった。目を離してすまない」
ぎゅっと抱きしめられる。
「どこも怪我してないかい?」
「うん、大丈夫だよ」
振り返って誘拐されたみんなに言う。
「皆、これで家に帰れるね」
安心したのか皆は一斉に泣き出した。
読んでいただきましてありがとうございました。
感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。
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