旅に出発します
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
誤字報告とても助かっています。ありがとうございます。
そしてあっという間に支店巡回に旅立つ日がきた。
父とジェイコブは旅の準備で忙しそうだったが、5歳の幼児は特にすることがない。
いつものように魔法の練習をすることと他には支店について母に聞くことくらいだ。
支店は私が住んでいる国サランに10箇所ある。
人が主に乗る馬車1台と荷物用の馬車1台の合計2台で旅するようだ。
荷物を1台で全部乗るのか心配したのだが、父はなんと便利な魔法袋を持っていて、ウチの倉庫1つ分くらいは入るので問題ないそうだ。
さすが異世界の商人だ。
ちなみに魔法袋は目玉が飛び出るほど高い。
魔法袋が持てたら商人として成功した証とも言えるらしい。
父すごい。
「ソフィア、この冒険者の人たちが、今回旅の護衛を引き受けてくれた紅蓮の剣の3人だ」
厳つい筋肉系の人が見た目に合わない爽やかさで挨拶したくれた。
「俺が紅蓮の剣のリーダーをやってるマルコスだ。こっちはリジー、そしてこいつがランガだ」
「よろしくね、お嬢ちゃん」
「ランガだ。よろしく頼む」
リジーさんはメガネの優しそうな赤毛のお姉さん、ランガさんは剣士っぽい。
「ソフィアです。よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀すると皆から温かな視線がとんできた。
「ソフィア、紅蓮の剣の皆には以前も護衛を依頼したことがあってね。その時の縁で、C級冒険者になった今も今回の支店巡回の護衛を引き受けてくれたんだ」
「C級の冒険者さんはあまり護衛はやらないの?」
素朴な疑問だ。
「普通は護衛はD級が多いかな。護衛の仕事は拘束時間が長いから高ランクになるほどやらないことが多いんだ」
「ロイド商会の護衛は依頼料も高いし、何よりメシがうまいからな」
マルコスさんがニヤリとしながら言った。
「それにこんなかわいい女の子と一緒に旅できるなんて癒しだわ」
そう言ってリジーさんは私の頭を撫でた。
「それじゃあ、自己紹介も終わったし出発しよう」
私はニックを抱いた母に駆け寄った。
「お母さん、行ってきます」
「行ってらっしゃい!体に気をつけてね」
「はーい」
前の馬車をランガさんが御者をして、その馬車に私と父とリジーさんが乗り込む。
ジェイコブは後ろの馬車の御者台に乗り込んだ。
そしてマルコスさんは1人馬に乗っている。
何かあればマルコスさんが先に馬で様子を見に行けるようにらしい。
「それでは出発だ!」
「しゅっぱーつ!」
まず目指すのは南の港町トリスタンだ。
このモルドールの街からは馬車で3日ほどの距離らしい。
海、この世界に来て初めて見るな。
美味しい海の幸もあるのだろうか。
「今日はここら辺で野営をしよう」
日が暮れかけたころ、街道沿いの森の手前でマルコスさんが馬を止めた。
皆んな馬車を降りたあと、父は魔法袋からテントやら調理道具やらを取り出した。
魔法袋便利!
私もいつか欲しいな。
紅蓮の剣の皆さんは、テント2つをたて始めた。
父とジェイコブと私は夕食担当だ。
「ソフィア、鍋に水を入れてくれるかい?」
「うん」
私が鍋に魔法で水を入れている間に、ジェイコブが食材を切りだす。
「ソフィア、薪に火をつけてくれるかい?」
「うん」
石で囲んだ薪に魔法で火をつけると、父がその上に鍋を置いた。
トマトなどの野菜と鶏肉を入れて煮込む。
私は味付けに塩とハーブを入れた。
アクをしっかりとって、また煮込めば完成だ。
少し味見をしたが、美味しくできていると思う。
「お父さん、できたよ。パンを出してくれる?」
外で食事をするなんて初めてだ。
キャンプみたいでちょっとワクワクする。
「これ美味っ。前の食事も美味かったけど、さらに美味くなった気がする」
「ほんとすごく美味しいわ」
「これはイケるな、おかわりいいか?」
紅蓮の剣の皆は料理に満足してくれてるみたいだ。
私もお手伝いした甲斐があった。
「沢山あるから遠慮せず食べてくれ。ソフィアのとったハーブは料理を絶品にするんだ。ソフィアはハーブをとる天才なんだよ」
「へ〜、やるなあお嬢ちゃん」
「うん、ありがとう」
そう、私はつい最近ハーブ採取の天才になったのだ。
読んでいただきましてありがとうございました。
感想のお返事返せないことが多いですが、必ず読んでます。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
よければ評価ブックマークもお願いします。