運のない私
新しい話、始まりました。気に入っていただけると嬉しいです。
誤字脱字など読みにくいこともあると思いますが、よろしくお願いします。
ああ、どうして私はこうもついていないのか。
お腹が猛烈に熱い。
痛いというより熱いのだ。
手をお腹にあててみると、手のひらにはべっとり血がついた。
目の前の見知らぬ男が血のついた包丁を片手に何かわめいている。
「俺のものにならないくらいなら、いっそ死ね」
こいつ誰だっけ?
あ、思い出した。
うちの近くのコンビニの店員だ。
ろくに話もしたこともない人に、ストーカーされて殺されるのか。
今、人生を振り返ると本当に運のない人生だった。
自慢じゃないが、人より顔がよく、頭も良かったのが逆に災いして何度利用されたり、嫉妬されて悪意を向けられたか。
そもそも普段からついてない出来事が多すぎる。
雨の日は必ずと言っていいほどトラックに水をかけられる。
交差点ではたびたび自転車が飛び出してくる。
入試の日に高熱をだす。
不運をあげればキリがない。
さらには去年父と母が交通事故で2人一緒になくなってしまったのだ。
一人っ子である私は、ひとりぼっちになってしまった。
ショックのあまりしばらく大学を休んだが、第一志望ではないとはいえ、せっかく両親が行かせてくれた大学をキチンと卒業しようと前向きに通い始めた時だった。
それは突然だった。
いつもの大学の帰り道。
夜、駅から家までの道を1人歩いていたら、急に物陰から男が出てきて私を刺したのだ。
意識が薄れてきた。
あ、これ死んだわ。
でも、まあこれで父と母のところへ行ける…と思ったのに。
「本当にごめんなさい!!」
「私からも謝ります。本当にごめんなさい」
?
ここはどこ?
私は高梨牡丹。
20歳、大学生。
うん、自分のことは覚えてるな。
じゃあこの白いふわふわした何もない空間は天国?
「天国ではありませんよ、高梨牡丹さん」
白いロングでセクシーなドレスをきた美女が2人並んで私に頭を下げていたが、そのうちの1人が私の名前を呼んだ。
どうして私の名前を知っているの?
「名前を知っていたのは私がこの世界の管理人、つまり神という存在だからです。そしてここは神の住む場所、神界のとある場所です」
「え?神様?じゃあやっぱり私死んだの?」
「そうです、あなたは残念ながら亡くなりました。しかしこちらの不手際で、あなたには運が授けられなかったことがわかったのです」
衝撃の事実だ!
運がないとは何度も思ったが実は授けられてなかったのか。
「逆によく運なしで今まで生きてこられましたね」
「逆にって言われましても…どんなに私や家族が苦労したか」
「そうですよね…ほんと申し訳なく思っています。そこで!」
そしてもう1人の女神様が前に出た。
「ここからは私が、お姉様」
「高梨さん、この度は姉の不手際で本当に申し訳ありませんでした」
「はあ」
「姉は結構うっかりもので、いつも心配してるんです」
「ちょ、ちょっと今それを言わなくてもいいでしょう?」
女神様たち結構親しみやすいな。
「お詫びと言ってはなんですが、妹の私が管理する世界にあなたを転生いたします」
転生…自慢じゃないが異世界物の小説やコミック、アニメは大好物だ。
「そこであなたにお好きなチート能力を3つお渡しして新しい人生をやり直してもらおうと思います」
チート?これはますます異世界転生物
「いくつか質問していいですか?」
「はいもちろんです」
「異世界とはどのくらいの文明ですか?魔物や魔法はありますか?」
「んー、文明は地球で例えるなら中世くらいですかね。でも魔法があるので不自由はしないと思いますよ。あと魔物はいますが、都市部には私の結界があるので魔物は入ってきません」
なるほど、魔法は心踊る要素だ。
「都市部の一般の人は魔法が使える人が多いんですか?」
「生活に使える魔法は使える人が多いですかね。もちろん使えない人もいますが」
「あと、貴族制ですか?」
「それは国によりますね。私の世界には主に6つの国に分かれていて、3つが王政の国、2つがギルドが管理する商業都市、1つが私を崇拝する宗派の教会が管理する聖国です」
へー、貴族は面倒そうだな。
「転生先も選んでいただけますよ。王族にも転生できます」
「チートは剣聖、賢者、創造、聖女、成長力2倍、他にも言っていただけたら大体何でもできると思います。私、神なので」
さすが、女神様。
「少し考えていいですか?」
「はい、ゆっくり考えてください。何か質問があればいつでもどうぞ」
「私のミスで今までしなくても良い苦労させてしまったので、遠慮せずチートを言ってくださいね。妹が対応しますので。チート以外にも健康な体や魔力、言語習得は最初からつけさせますからご心配なく」
「姉さん…」
地球の女神の性格では地球が心配だ。
少し考えたがやっぱりこれだ。
「幸運をお願いします」
読んでいただきましてありがとうございました。
引き続き次回もお読みいただけると嬉しいです。
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