4 友達
気絶するのは二回目だけど、今度は夢を見た。懐かしい用水路で、もちろん水の中で快適に過ごす夢。そこには食べ物もあって、モンゴリアン・デス・ワームもカラカラに乾いた砂漠もなくて、平和だった。
だけど、アブドラや三郎はいない。仲間のザリガニもいない。アブドラと出会う前と同じ、ひとりぼっちだった。
初めて、僕は気がついた。ひとりぼっちって、こんなに寂しいものだったんだ。話し相手や、一緒に冒険する仲間がいないなんて__。
気がついた時にも、僕は何故か水の中にいた。驚いて周りを見回すと、そこはやっぱり見知らぬ地だった。ただ砂ばかりじゃなく植物もあり、僕は冷たい水の湖にいた。
そして近くにアブドラと三郎がいたことに、僕は心からほっとした。
「ジョニー、大丈夫か」
三郎とアブドラは湖のそばに寄ってきた。
「うん……ここは?」
「オアシスだよ。アブドラが見つけたのさ」
アブドラは胸を張った。
「砂漠に生きるものは、水がある場所を遠くからでも見つける力があるのさ」
「オアシス……」
そこはアブドラの好きな砂漠も、僕が住める水場もある、魔法のような場所だった。
三郎がのんびりとつぶやく。
「ここは虫も木の実もあるし、最高だな。ここにずっと住んでもいいくらいだ」
「えっ、日本には戻らないの?」
「ああ。嫌味ばっかり言うとんびや、威張ってる鷹もいないし」
お前はどうするんだ? 三郎は僕に尋ねた。アブドラもぱっと僕の顔を見た。何も言わないけど、祈っているような顔をしていた。
僕の答えは決まっていた。
「ここに残るよ。友達もいることだしね」