004 生徒会の一員になってしまった
(キーンコーンカーンコーン)
下校時刻になった。ルナに見つかる前に帰ってしまおう。
こっそりと廊下に出る。
「おい」
「ひゃいっ!」
「…ひゃい?」
突然声を掛けられて変な声が出てしまった。
振り返るとアクシヤがいた。なんだ?出待ちか?
「…アクシヤ・スイカズラさんですよね。私に何か用ですか?」
「別に。ただ、そっちに生徒会室はない」
「…知ってますけど」
知ってて帰ろうとしてるんですけど。
…物凄く睨まれている気がする。
「意味が分からない。何故お前は生徒会を拒否し続ける?」
「……」
「なあ答えろよ。お前この学園に何しに来たんだよ!」
アクシヤは努力してSランクになった。生徒会に入るために、兄を超すために。
私は何をした?何をしにこの学園に来た?
…決まってる。
前世で出来なかったjkライフを送りたい。青春をしに来たんだ。
そのためには女子友達を沢山作りたかった。だから目立ちたくなくて、生徒会に時間を取られたくなくて。
「…アクシヤさんは凄いと思います。」
「は?何言って」
「努力出来るって最大の武器だと思うんです。ぽっと出の女が何言ってんだって感じだと思うんですけど、私は、アクシヤさんの事``ちゃんと見てます``だから、その…」
そんな苦しそうな顔をしないでほしいなんて。
画面越しにずっと見てた。それに世界の理不尽さには私も苦労した身だ。
アクシヤのことは応援してあげたくなる。
「あ!ルセちゃんとアクシヤくん!何話してるの~」
…………………………………
《アクシヤside》
昔から兄は凄かった。才能の塊だった。
魔力も何もかも、俺は兄に劣っていた。
誰も俺に興味がなかった。誰も俺を``見てくれない``
だからあいつが生徒会を拒んだとき、まるで今までの俺の努力を馬鹿にされたようで腹が立った。
なのに…
``ちゃんと見てます``
___それは俺の一番欲しかった言葉だった。
…………………………………
《ルセside》
「あ!ルセちゃんとアクシヤさん!何話してるの~」
「世間話…かな」
「そうなの?でも酷いよルセちゃん。一緒に生徒会室行こって約束したのに、気が付いたら教室に居ないんだもん!」
「ごめんごめん。じゃあ折角だし3人で行こっか」
「そうだね!アクシヤさんもそれでいいですか?」
「別に何でもいい」
心なしかさっきより晴れた顔をしたアクシヤがそう答え、歩き出す。
ルナに見つかる前に帰ろう作戦はアクシヤの妨害により失敗。
私は生徒会室に向かうほか無くなってしまった。
とほほ、
「あ、姉さん奇遇だね」
「…レイド」
「え?弟さんって二組のレイド・コリウスさんだったの!?」
「はじめまして。Sランクのアクシヤ・スイカズラさんとルナ・クロッカスさんですね。同じくSランクのレイド・コリウスと申します。姉がお世話になっております。」
ニコニコ挨拶するレイドが私の方へ寄って来る。
「姉さん。僕たちはこれから生徒会の仕事があるんだ。」
「うん」
「うんじゃなくて…。姉さんは下校時刻だから帰りな?」
は…?もしかして今、馬鹿にされた?
お前がSランクなわけないって遠回しに言われてる?
「私、Sランクだけど!」
「何言ってんの姉さん。今まで姉さんが魔力平均値越したことなかったでしょう?」
「本当にSランクなの!生徒会なの!私!」
「もう噓なんてつかなくていいのに。うちの姉がすみません、」
「い、いえ…」
否定してよ!ルセ・プリムラもSランクだって言ってやってよ…!!
「はぁ分かった!四人で生徒会室に行って私もSランクだって証明すればいいんでしょう!行ってやるよ生徒会!なってやるよ生徒会!」
「ルセちゃん…。やっと生徒会になる気になったんだね…!」
こうして勢いで生徒会の一員になってしまうルセ・プリムラであった。
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