003 好感度本を見つけてしまった
「おかえり。姉さん」
「た、ただいま…」
レイド・コリウス。作中きってのシスコン。リスナーは名前も明かされていない``姉``に嫉妬していた。そうそう!レイドを攻略するには悪役令嬢の前に姉より大切な存在になるって言う課題があって…。じゃなくて
私がその姉って事??
「姉さん。何組だった?僕2組」
「…1組」
困惑で動けない私を横に、ソファーに座りレイドは話始める。
弟かぁ…。確かに欲しかったけど!攻略対象は違うじゃん!
「魔力測定はどうだった?1組Sランク3人って聞いたけど」
「…あーまあまあ?」
「何それ」
「色々あったの。…私お風呂入ってくる」
取り敢えず家の中を調べてみよう。
家を散策して分かった事は、恐らく私とレイドは二人暮らしという事。そして苗字が違うことと家族アルバムを見る限り、血のつながりが無いという事。
うん。乙女ゲームらしい設定だ。
そしてもう一つ。
「…『好感度本』って何?」
禍々しいオーラを放っているその本は、私の机の上に置かれていた。
何だか凄く嫌な予感がするが、開かないと言う選択肢はない。
ページをめくってもめくっても白紙が続いている。
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ア シヤ・ス ズラ▽
イドン・ ーネー ン▽5
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「…ん?」
閉じる。
文字書いてあったな、しかも知ってる名前だったよなぁ…。
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アクシヤ・スイカズラ▽5
ロイドン・カーネーション▽5
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「絶対に好感度だ…。」
恐らく▽の隣がルナ・クロッカスへの好感度だろう。
助っ人キャラらしいアイテムを見つけてしまった…。
まるで神に、モブにはなれないと言われているようだった。
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次の日、1人でお弁当を食べようとしてるとルナが机の前までやってきた。
「ルセちゃんーお昼食べよー!」
「うんいいよ」
「え!お弁当!?可愛いー!ルセちゃん器用なんだね」
「いや、弟が作ってくれたんだ」
「え~弟さん凄いモテそうだね…」
「そうなんだよ。だから今日の登校中も逆ナンされて大変で」
「あはは、朝から災難だったね…」
レイドはかなりモテるが「僕には姉さんがいるから」でナンパを全て断っている。
まるで女除けの魔法の言葉のように…。
…ん?
``女除け??``
「…ルセちゃん?急に固まってどうしたの??」
「おーいルセちゃん?」
______シスコンのふりをして姉を女除けに利用しているのでは…!?
何だかとんでもない真実にたどり着いてしまった気がする。
(キーンコーンカーンコーン)
「予鈴だ!じゃあねルセちゃん!」
「…うん」
「あ!放課後まっててね?」
「え?なんで?」
「生徒会!一緒に行こ!」
忘れてたぁ…!
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