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002 ヒロインイベントに巻き込まれた


 教室を飛び出した私は兎に角走った。それはもうがむしゃらに走り続けた。

 乙女ゲームのストーリーに巻き込まれなければいい話なはずなのに、はずなのに…。

 初日から巻き込まれすぎだろっ…!!そしてここはどこだっ…!!

 何年も画面の向こうから見ていたはずなのに、いざ学園を歩いていると知らない扉や道がたくさんあって完全に迷子になってしまった。

 どうしよう。周りに人はいないし、道も突き当りまで来ちゃったし。

 目の前には大きな扉が一つ。_______ここに人が居なかったら詰みだ。


(コンコン)


 深呼吸をして中を確認する。お願い、誰かいてください…。


「失礼しま…え」


 立て掛けられている賞状、少し埃をかぶった刀、アンティークな時計、そして何よりこのふかふかそうなイス。

 とても見慣れた景色だ。

 もしかしなくても私、自分から生徒会室に来てしまった…!?

 

「ここに何か用ですか」


 後ろから現れたのは……攻略対象だった。













 

 ロイドン・カーネーション。二年生で生徒会副会長の攻略対象。とても真面目な性格で、あまり笑顔を見せない事から界隈ではロボットなんてあだ名もついていた。でも好感度が上がるとヒロインに心を開き始め、恋愛下手な所が見えるのがギャップ萌えで人気なキャラだ。

 ロイドンは生徒会長と行動を共にしていることが多い…つまり早くここを出ないと生徒会役員が集まって来るかもしれないという事か。

 それはモブになりたい私としては避けたい事態だ。


「…少し道に迷ってしまって、昇降口の場所を教えてもらえませんか、?」

「昇降口?分かりました。着いてきてください。」

「ありがとうございます。」


 よし。なんとか帰れそうだ。


「あ!ルセちゃん!やっと見つけたよ~!」

「えぇー!?このタイミングですかっ!?」

「えっと隣りの方は…」

「はじめまして。生徒会副会長のロイドン・カーネーションと申します。」

「ルナ・クロッカスです!よろしくお願いします!」

「…別に貴方とよろしくするつもりはありません。」

「えっ」


 相変わらず塩だなロイドン。それよりピンチだ。これは第一のイベント、『ロイドンと曲がり角でごっつんこ!?』の光景と完全一致している。

 いつの間にかイベントに巻き込まれてしまった…かもしれない。


「ちょっと!よろしくしないなんて失礼じゃないですか!」

「失礼??」

「そうですよ!失礼です!ね!ルセちゃん!」

「え、私?」


 もう勘弁してよぉ。ほら、ロイドンがこいつ面白いみたいな顔でルナのこと見てるよぉ。

 ここは素早く切り上げるとしよう。


「…どうだろ、分かんないなぁ」

「え~!?」

「あ、道この子に教えてもらうんでもう大丈夫ですありがとうございましたそれでは」

「わっルセちゃん!?引っ張らないでー!」


 うん。一件落着。






…………………………







「初日からお友達できて嬉しいな」

「私も、」


 私の転生はヒロインでも悪役令嬢でもモブでもなかったけど、


「明日も沢山喋ろうね!…そうだ!タピオカ飲み行こうよ!」

「…うん!!」




 ______それは青春の香りがした。




















(ガチャ)


「ただいまー」


 学生証に住所書いてあって良かったー。じゃなくて


「おかえり」





 なんで攻略対象キャラが家に居るんですか?????








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お読み下さり誠にありがとうございます。

感想、評価等お待ちしております。

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