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10話.[思っていたんだ]

「むかつく」


 史がちゃんと来るようになったのはいいけど、何故か宗二のところにばかり行くからだ。

 私の方がずっと前からいるのにという気持ちと、なんでいまさらになって宗二にばかり構ってもらうんだという気持ちと。

 そういうのがごちゃごちゃになって爆発しそうになってしまっていた。


「おい伊織、なんで来ないんだよ」

「あんたが史の相手ばかりをするからよ」

「それでもこれまでと変わらないだろ?」

「変わったわよ」


 こっちは好きだとぶつけたんだから。

 宗二もまた、そうかと、ありがとうと言ってくれたんだから。

 つまり関係は変わっているというのに、全くそれを分かってくれていなかった。

 それこそ宗二が言っていたように、気になる異性の近くに同性がいたら私は気になるんだ。

 あの子だってもっと本格的な感情を抱えるようになったら分かるはず。


「放課後は伊織とゆっくりいられるからな」

「……私は午前中とかだってあんたといたいわよ」


 仮に来るとしてももう少しぐらい頻度が高くないと思っていたんだ。

 それが今度は青木と出会う前までぐらいには来るようになってしまった。

 もちろんただの親友としては喜ばしいことなんだけど……、その親友に対してこんなことを考えてしまっている時点で終わっている。


「嬉しいよ」

「頭を撫でておけばなんでも通ると思ってるの?」

「違うよ、求めてくれるのは伊織だけだから本当に感謝してるんだ」


 それにしたって青木が現れなかったらなかったわけで。

 むかついたから教室から連れ出して離れることにした。

 四月は三人一緒のクラスになれてよかったと思えてたのに……。


「いい? 私達の関係は変わったんだから気をつけて」


 面倒くさい人間なのは自覚している。

 それでも好きになってしまったからには、断ったわけではないということなら相手にだってそういう風に動いてもらいたいんだ。


「ちゃんと史に言ったから大丈夫だぞ?」

「え、言ったの?」

「当たり前だ、隠すようなことじゃないからな」


 あ……だからこそ一切気にせずに、前までみたいに近づけているということ?

 史は史なりに考えて動いてくれていた……ということなの?

 もしそうなら私はかなり嫌な人間だということになってしまう。


「寧ろ伊織が隠していたことが意外だったぞ」

「な、なかなか言えなくて……」

「だけど安心しろ、言いづらいことがあっても俺が言ってやるからさ」


 別にそういうことをしてほしかったわけではなかった。

 言ってなかったのに言うのはなんだけど、史に隠すのは違う気がするから。


「……私はあんたがいてくれればいいわ」

「いるよ、伊織が飽きるまでは延々とな」

「そう、それならいいわ」


 大げさに言ってしまえば彼がいてくれればなんにも怖くなかった。

 だからいてもらえるように頑張ろうと改めて決めたのだった。

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