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暴走 ヒロside

R15です。注意!

「で、な……なんなのかな?」


 この状態で、なお誤魔化そうとする磨夜ちゃん。

 愚かだ。

 そう簡単に言い切ってしまえれば、簡単なのに。


「なんだろうね」


 本当にか、何故かは分からない。

 君が欲しくてたまらない。


 口の端をわざと上げる。

 彼女の恐怖が目に見えて、楽しくなる。

 どんな磨夜ちゃんも好き。どんな磨夜ちゃんも可愛いと思える。

 ただ、僕以外の人間と仲良くする磨夜ちゃんは……許せなかった。


「ひ、ひろっ! ちかいってば」


 こんなに近くにいるのに、まだ気づいてくれないの?

 僕は君が欲しくてしょうがないんだ。

 怯えている彼女を見ながら、僕はどう見られているのか疑問に思う。

 こんな風に腕を掴み、上に覆い被さる男。

 ただの幼なじみではないでしょう?

 答えが怖くて、いつも聞けないまま。

 君に「待て」と言われれば、待てるよ。でも、勝手に遠くに行くのはダメ。


「磨夜ちゃん、僕だって我慢してるんだよ? 磨夜ちゃんが嫌だっていうことをしないようにしているし、考えてる。君のことだけ、考えてる」


 とても苦しいんだよ?

 結局、一方通行なのは分かっているから。

 君は、僕を幼なじみ以上には見てくれないのだって分かっている。

 優しいから。

 僕が普通じゃないから。

 君は僕を見捨てられないのでしょう?


 僕の目の中にいる君は、いつも何かに怯えている。今だって、苦しそうな顔をして、僕を見ている。

 胸の奥がずきりと痛んだ。

 磨夜ちゃんは僕を意識しないようにしている。それは、僕の境遇を考えて、苦しまないためだ。磨夜ちゃんは優しいから、僕が普通じゃないことを、認めることすら罪だと思っている節がある。

 そんなこと、気にしなくてもいいのに。だって、僕は魔王なんだし、心が綺麗だとは、自分だって言えやしないから。

 安心させるために、微笑む。まあ、気休めだけれど。


「だけど我慢してると、何も進まないって、理解したよ」

「何を!? どう!?」


 ああ、混乱してるな。

 翻弄されている姿も可愛く思えるなんて、本当に毒されてる。


「気持ちよくしてしまえば、溺れさせちゃえばいいんだよね」


 そうすれば、君とずっと一緒にいられるでしょう?

 僕から離れられなくなるでしょう?


「ちょ、ひ、ひろ……」


――何よりも君が欲しい


 磨夜ちゃんの唇へ手を伸ばす。触れて良いのかなんて分からないけど、触れたいと心は叫ぶ。

 全く動かない磨夜ちゃんは、思考がついてきてないようだ。

 磨夜ちゃんは、僕を可愛いとか綺麗だとか、そういう風に見ている時がある。

 確かに見た目は悪くないらしい。

 しかし、磨夜ちゃんの方が……。


「磨夜ちゃんは柔らかいね」


 唇に触れているだけ。それだけなのに。

 全身が震えるほどの喜びが湧き上がってくる。


「冗談とかじゃ……?」

「ないよ」


 あるわけない。

 しかし、きっぱり言い過ぎたのは失敗だった。

 磨夜ちゃんはやはり怯えているらしく、唇を小刻みに震えさせている。

 僕と違う理由の震えは、軽い恐怖。

 何を考えているんだろう。

 少しでも、僕を受け入れてくれる気はあるのだろうか。

 じっと見つめる。磨夜ちゃんは動揺して、目を左右に泳がせた。

 何か深く考えているようでもある。

 うん。そこまで、嫌がってはいないかも。


「磨夜ちゃん、可愛い」


 その一言でで、真っ赤に染まってくれた君。

 君の一動に心が躍る。

 思わずもっと近づきたくて、唇を耳たぶに寄せていく。

 ああ、緊張しているな。

 そう感じながらも、そのまま軽いキスを落とした。

 どこも柔らかい君。

 耳が赤く染まり、まだ初な反応が、やはり良い。

 もっと、反応して欲しい。僕を感じて欲しい。

 「僕」を欲しがって。


「次はどこかな? 全部美味しそうだから……困ったね?」

「ううう……」


 本当に困った。

 なんて可愛いんだ。

 頬を染めながら、唸る君は困惑しているものの僕を拒絶はしていない。

 危うい。非常に危うい。


「やらかい」


 もっと彼女に触れたくて、右手を服の中に滑りこませた。

 滑らかな肌の感触が、僕の下半身を熱くする。

 左の脇腹を上へと進み、求めていた場所を見つけ出した。今まで触った中で一番柔らかく、膨らんだ場所。


「う、え、あ……」


 ブラの上から優しく揉み上げる。

 邪魔だな。

 すぐにその中に手を突っ込み、ただ触る。

 やはり、それだけでは足りなくて何度も優しく揉みしだく。

 息が上がってきた自分と彼女。

 一緒だ。すごく嬉しい。


「えっちいね」


 一瞬、今までの色気が飛んで、ぽかんと口を開けた磨夜ちゃん。

 僕、変なことを言ってしまったのだろうか。

 まあ、いいや。

 もっと、滅茶苦茶になってしまえば、快楽だけになる。

 残る記憶も、悦びだけにしてしまえばいいのだ。

 熱い吐息を磨夜ちゃんに吐き、その熱を伝える。


「磨夜ちゃん」


 名前を呼んで。君に刻む。

 目を合わたら、次にすることは心が決めた。

 君と僕の唇に、同時に柔らかい感触が灯る。

 一度、触れるだけ。

 心が通うように、優しくした。

 すごく、良い。


「もっと触りたいな」


 君にもっと近づきたい。

 邪魔な服を脱がせるために、一時彼女の体に這わせていた右手を服から出す。

 その動作をするときだって、肌を撫で上げるようにした。

 一秒でも長く、快楽を。理性を彼女に与えないように、手で彼女を弄るように。

 その手を磨夜ちゃんは凝視した。

 ……僕の手、変なのかな?

 彼女が何に興味をそそられたのかは分からない。

 首を傾げていると、それは始まった。


「やっ、やだっ!」


 いきなりの拒絶。

 いや、今までされるがままだったのがおかしかったんだ。

 彼女は僕に触って欲しいなんて、一度たりとも思ってはいないのだから。

 調子に乗りすぎだと、頭の隅で思う。

 知っていた。

 ずっと、警報がなっていたのも、知っていて、無視をした。

 彼女は嫌がっていないと、決めつけて。

 その結果がこれだ。

 やはり、彼女の体は小刻みに震えている。

 伏し目がちな瞳を守る睫毛が濡れ、今にも涙が零れ落ちそうだ。


「磨夜ちゃん……」


 苦しいよ。

 これ以上、怖がらせたくなくて……いや、僕が怖がられたくなくて、少し離れた。

 それを感じてか、磨夜ちゃんの瞳が大きく開かれた。


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