表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/42

【番外編】夢現 2

今回もR15で。

 本当に、可愛くて可愛くて仕方が無い君。

 泣かないように守らなくてはいけないね。


「僕、磨夜ちゃんと二人で居たいなあ。おうちで遊ばない? そうしたら、お菓子だって食べれるし、眠たくなったら布団もあるよ」


 いや、布団は駄目だ。駄目じゃないけど駄目だ。

 僕の厭らしい考えを知ってか知らずか、彼女からの返答がなかなか返ってこなかった。じっと、地面を見つめて、何かに耐えるようにして考えている。

 彼女は僕といるとき、いつもそうだ。

 守りたいのに、常に守られていて。

 笑わせたいのに、眉間に皺が寄ってしまう。

 ごめんね、と何度も言った。彼女の中で、僕はいつまでも小さくて、可哀想で、守らなければいけないものなのだろう。だったら、ずっと守ってもらえばいいと、そんなことを考えたせいなのだろうか。

 彼女は僕から離れた。


「ね、帰ろう」

「うん」

「待てよ!」


 そこらへんでニヤついていた馬鹿どもを思考の外に追い出し、完全に無視した。っていうか、存在を忘れてた。


「邪魔」


 冷たい目で見てやれば、戸惑った視線を向けられる。

 磨夜ちゃんも、困惑しているらしい。


「磨夜ちゃん?」

「ヒロ……」

「離れていかないで」


 僕が君を独り占めしてしまうのがいけないのかもしれない。

 君の世界はとても広くて、いろんな道が広がっているのに、それを僕は一つにしている。

 だからかな?

 君は僕を見捨てたのかな?


 磨夜チャンは再び僕の手を引き、走り始めた。やっぱり温かい彼女の体温に、自分の理性なんてあって無いようなものだと感じる。

 家までの道がただひたすら長く感じた。

 足がだんだんと重くなっていく。

 ああ、きっとこれは目が覚めてきているせいなんだ。


 君が、夢であろうと、こんなに近くにいるのに……。



**



 くそっ、と軽く悪態をつく。


「どうせなら、ヤっちゃえば良かった……」


 目覚めは悪くない方だし、夢の内容も覚えている。目が覚めた瞬間に、忌々しくそんな言葉を呟いていた。

 ふと、部屋に誰かの気配を感じる。


「あ、起こしちゃった?」


 何で君がここにいるんだ!?

 え、まさか夜這い!?


「ご、ごめんっ。気が付かなくて」

「え? なんてヒロが謝るの? 私が勝手に入ったのに……。ごめんね、寝てるの気が付かなくて。ノックしたんだけど、返事が無いし、鍵かかってなかったから」


 僕の部屋に彼女がいる。

 しかも、さっきとは違い、成長して成熟している彼女が。

 これが、夢の続きではないことは分かっていたけれど、それとこれとは別だ。僕だって、男だし。

 顔が、耳が、下半身が熱くなるのを感じた。


「磨夜チャンはいけない子だね……」

「ヒロ?」


 動揺する彼女の腕を掴み、自分の元へ寄せた。

 胸に、彼女の頭があって、腕には彼女がいる。


「どうされるか、分かる?」


 僕の熱が、彼女に移ってしまえば良い。

 そうすれば、この熱病のような激情も彼女がどうにかしてくれる気がする。


「ど、どうされる、の……?」

「磨夜ちゃんには想像もつかないこと、しちゃいたい」

「!?」


 彼女の赤くなった頬が愛しい。逃げるために胸を押す腕を取って、押し倒してしまいたい。

 でも、君はきっと泣くでしょう?


「ヒロ、やめて……」


 分かってます。そんなこと。

 泣きそうな顔をした、君の水滴を指で取り、舐めあげる。


「美味しい」


 君を食べてしまいたい。

 僕とこんなに近くにいても、振り向いてくれない君。


「欲しいのは磨夜ちゃんだけなのに……」


 奥底まで、僕でいっぱいにしてしまいたい。

 そんな浅ましい考えを持つのは、君にだけなのに。


「ひろ……」


 彼女の腕の力が少し緩んだのを感じ、本当にやばいな、と思う。

 磨夜ちゃん、僕の理性が保つのは君が本当に抵抗している間だけなんだよ?

 そんなことを言ってしまえば、今後の彼女との進展に大きな影響を及ぼすのは考えなくても分かるから、絶対言わないけどね。


「ヒロは、勝手だね」

「うん、ごめん」

「でも、それ以上に私はもっと勝手な人間だと思う」


 そんなことはないよ。

 君以外興味が無い僕が言っても、意味の無い言葉かもしれないけど。


「もう少し待って」

「うん、分かってる」


 君が僕まで堕ちてくるのを待ってるから。


「ちょっとだけ、シたいな……なんて」

「え、何を!?」

「触りたい」

「もう十分触ってるんじゃ」

「こんなんじゃ、足りないよ。磨夜ちゃんの隅の隅まで見て、触って、確かめたい……」


 服の上からだって、十分だった。っていうか、こんなオアズケ状態でずっと居ろっていうのは、なんの拷問なの!? 磨夜ちゃん。


「……磨夜ちゃん」


 耳たぶを唇ではさみ、舌で軽く舐める。


「ひゃっ!?」

「まだ、逃がさないよ?」


 右手で、彼女の形の良いお尻を触れるか触れないかくらいのところで、撫でる。

 っ、これは……。

 柔らかく、手に馴染む感覚が脳を刺激する。

 感動で、自身が硬くなるのを感じた。

 次は、どこがいいかな?

 きっと、感度がいいだろう、磨夜ちゃんの全身の脳内で検索をかける。

 む、胸触りたいかも……。


「……ひ、ひろの」

「え?」

「ヒロのスケコマシっ!!!!!」


 次に僕に触れたのは、彼女の右膝で……。

 僕の一番触って欲しい場所に、勢いよく触れた……というよりは蹴り上げられたそれは、非常に、非常に痛かった。


「……つぅうう」

「あ、ごめんっ。大丈夫!? ヒロ」


 調子に乗りすぎた僕を彼女は心配してくれた。

 だ、大丈夫じゃないけど、嬉しいよ……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ