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【番外編】夢現 1

ヒロ視点で、思考内容がR15ちっくです。

エロいというより、犯罪くさいかな?


エイプリルフールの番外編ということで、本編のシリアスをぶった切ってます。

なんでも笑って許せる方、どうぞ。


※ヒロはロリコンではなく、磨夜コンです。

 小さな頃から、彼女はずっと一緒だった。それが役割を全うするためだったとしても、僕は幸せだった。

 他には何も求めない。

 だから、彼女を僕から遠ざけないで。

 僕からすべてを奪わないで。


「ヒロ、なにしてるの?」


 幼い彼女が僕に問う。

 現実味がない。きっとこれは夢なんだろう。

 漠然とそう感じた。

 彼女を幼いと感じる時点でやはり夢なのだと思う。

 すべて夢、夢だ。

 目の前の彼女の着ているのは、白いワンピース。そこからまだ赤ちゃんのように柔らかい手と足が伸びている。

 ひどく、官能的だと言ったら、彼女は泣くだろうか。


 それともバカにする?


 逃げないで、いてくれる?


 やましいことを考えていた僕が答えないのを不満に思った彼女は、しきりにスカートの端を引っ張っている。

 拗ねているんだろうか?

 か、かわいい……。


「ヒロ、きいてる?」

「ああ、うん。ごめんね、磨夜ちゃん」


 今度は笑顔になって、僕の左腕をとって歩き出した。

 あ、あったかい……。

 子どもの体温に安堵し、彼女の体温に自身の熱が上がるのを感じる。

 そんな僕の手を握る手はやはり柔らかい。

 しかも、磨夜ちゃんが僕をまっすぐ見ている。大きなくりくりした目が、僕の鼓動を早めた。

 小さな感動を繰り返していると、彼女は「はやく」と僕を急かした。

 永遠にこの時間が続けばいいのに。

 夢だと分かっていても、そう思ってしまう。

 彼女は家の近所の、見慣れた道を走っている。この手や視線の感じだと、僕も幼児になっているんだろう。

 そして、多分公園に向かっている。そうだ。いつも僕たちは公園で遊んでいた。


「とうちゃく!」


 何をするにも笑っている磨夜ちゃん。

 僕を嫌いじゃない磨夜ちゃん。

 愛しくて、どこかに閉じ込めてしまいたくなる。

 でも、それをしてしまったら彼女は悲しむ。それになにより、「普通」から遠ざかってしまう。

 それは、磨夜ちゃんが一番嫌うことだ。


「ぶらんこ、のろう」

「うん」


 そんな僕の心中を知ってか知らずか、彼女は無邪気に笑う。やっぱり、可愛い。

 ブランコに乗りたいなんて、しかも僕と一緒に……。嬉しすぎて涙が出そうだ。

 ああ、でも今日はスカートなんじゃ……!?

 み、見たくないとは決して、っていうか天地がひっくり返ったとしても言わないけど、他のガキには絶対に見せたくない!

 ……何色だろう。

 って、重要なのはそこじゃないし!


「磨夜ちゃん、ブランコより砂場遊びにしない?」

「ぶらんこー」


 どうやら、ブランコに非常に乗りたいらしい。

 困って、ため息をはいてしまったのが災いした。

 僕が磨夜ちゃんとブランコ遊びをするのを拒否したと感じたんだろう。目から涙が零れ落ちそうだ。

 な、泣かないで、磨夜ちゃんっ!


「ヒロはしたくない?」


 ……ヤりたいです。

 馬鹿なことを真面目に口走りそうになり、非常に焦った。これで、「私も」なんて言われた日には……。

 僕は確実に犯罪者になる。

 っていうか、この姿なんだから問題ないのでは?

 どこまでできるか分からないけれども。

 いや、磨夜ちゃんの願いはブランコに「僕と一緒に」乗ることだ。それを叶えてあげなければ!


「分かった、乗ろうか」

「うん!」


 君の笑顔が、痛い。

 邪な気持ちが消えてくれず、僕は磨夜ちゃんに手を引かれるまま、ブランコへ近づく。

 い、いいのかな?

 いや、でも磨夜ちゃんがヤりたいっていったわけだし。

 ……うん。

 磨夜ちゃんが僕のモノになってくれるんなら、最低でもいいや。


「磨夜ちゃん……」


 そういえば、ブランコって横に並んで漕ぐわけで。

 僕には見えないし、目の前にいるあのガキには見えてしまう。

 ……排除せねば。

 そう思って、足をそいつらの元へ向けた。

 睨みつけながら歩いているのだが、あまり効き目がないらしい。にやにやしながら、こっちを見ているガキに苛つく。

 まあ、小さいし。僕は昔から中性的な顔立ちだったし。

 しかし、それにしても、気持ち悪い顔している気がする。


「ヒロ、だめ!」


 え?

 体が後ろに引かれる。小さな力しか感じなかったため、こけることはなかったが、危ないなあ。

 そう思って、振り返る。

 その原因は、磨夜ちゃんだった。


「ヒロはまやとあそぶの! ほかのこのとこ、いっちゃだめ!」


 は、鼻血出そうだよ、磨夜ちゃん。

 何? この可愛さは。

 ふるふる震えながら、僕の腕を掴む、小さな手。ぜひ、胸に持っていって欲しい。迷うことなく、大きくしてあげるから。


「ヒロ、だめー!」


 っていうか、今度こそ泣いちゃいそうだ。綺麗な瞳に、綺麗な水滴が溜まっている。

 くっ、連れて帰りたい……。


 僕が己の欲望と戦っている中、磨夜ちゃんは零れそうな滴と戦っていた。

 磨夜ちゃんは、小さいころに「泣かない」という誓いを立てている。それを守ろうとしているんだろう。

 磨夜ちゃんの願いは、僕が全部叶えてあげたい。


「磨夜ちゃん、ごめんね」


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