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立派な悪役令嬢に。

長らくお待たせしてすみません。

継続してブックマークをして下さっている方、いいねを下さった方ありがとうございます。

久々投稿にテンションが上がり今回も長いです・・・。




その日、王宮には王妃殿下によって各分野のエキスパートと名高い講師陣が一様に集められました。


王妃殿下が丹精込めてお手入れなさっているローズガーデンでのお茶会は社交界を生きる淑女にとって憧れ。誉れ高い名誉なのでございます。


恐れ多くもそんな誰もが羨むお茶会に招待され不本意ながら少々浮かれていた私ですが、お茶会に招待された面々を見て私は私が置かれている状況を理解しキリっと気を引き締めました。


私は王家の方々をはじめ公爵、侯爵、伯爵家と高位貴族の御令嬢方に夜会やお茶会での作法や歩き方、挨拶の順番等を教えているマナー講師をしております。


私の向かいに座っておられるのはバイオリン奏者で有名なかのお方、そのお隣はダンスのプロのお方、そのはす向かいが地学の教授だったかしら。他にも政略関係にお強い方や武芸や乗馬などなど多岐にわたる様々な分野でご活躍の方ばかり。


皆、互いの顔を見合わせて考えた事は一つだったはずですわ。


「ついに、婚約者の方が決まったのね」


誰かが小さく呟いた言葉に皆の背筋が伸び、気持ち鼻息が荒くなるのを感じます。

だって未来の国母であらせる王妃殿下の妃教育に携われるなんてそんな名誉は他にないですもの。



「皆様ごきげんよう。お早いのね、お待たせしてしまったかしら?」


凛と透き通ったお声が鼓膜を震わせ皆は一同に起立し紳士、淑女の礼を取ります。


「王妃殿下におかれましては、ご機嫌麗しゅうございます。」



「皆さま、今日はそんなかしこまらないで。楽にして頂戴な」


さあ、お掛けになって。

その優しく慈愛に満ちたお声に促されるよう王妃殿下が腰かけた後、着席します。


そこからは、もう王妃殿下の独壇場といっても過言ではないでしょう。



王妃殿下はそれはもう見事な話術で私たち一人一人を褒めてくださり、話題を広めきっと必要な情報を収集なされたのでしょう。

場が暖まったところで殿下は本題に入られました。




「今日皆様にお集まり頂いたのは、お願いがありまして。」




頬に手を当てて嫋やかに首を傾げた王妃殿下の雰囲気とは裏腹に皆の空気がピンと張りつめました。



「ようやっと、王太子の婚約を結ぶ事が出来ましたの。」



その一言にその場がわっと沸きました。

やはり私たちの予想は当たりの様です。



「ほう、それはそれは大変御目出度い事にございます。」


「その栄えある婚約者殿とはどなたで?」



「ラビット公爵令嬢よ」



ラビット公爵令嬢といえば幼き頃から才女として名高いお方です。


「素晴らしい・・・」


選定された婚約者の御令嬢の名を聞き各々鼻息を荒くし褒めたたえました。


私もラビット公爵令嬢が幼き頃、公爵家主催のガーデンパーティーにてお姿を拝見した事がございましたが、当時まだ5歳であったというのに見事なカーテシーを披露しておりました。

その優秀なお方が王太子妃となられる為にお力添えが出来るというのですから無理もありません。



「そう、現時点で12歳としての基本的なマナーや教養は申し分ない。完璧な御令嬢なのだけど・・・。

少し困った事があってね。それで皆さんにお願いしたいのよ。」


小首を傾げ、その美貌なお尊顔に憂いな表情を浮かべた王妃殿下。



「彼女は努力を惜しまない秀才ではあるけど、天才ではないわ。年齢もまだ幼くラビット公爵の庇護下で悪意に晒される事なく純真無垢で、ある意味では無知よ。


いずれ未来の国母であれば無知なままじゃ到底務まらないわ‼


そこで皆さんには、彼女の教育を行って頂きたいのよ。お願いできて?」



もちろん皆様の返事は声を揃えて御意(イエス)



「完全無欠!周りを圧倒するような完璧な悪役令嬢教育をお願いね‼」



「「「「・・・・???」」」」



王妃殿下のその一言で沸いていた各分野のエキスパート講師たちが一様に頭上にハテナを浮かべました。


『悪役令嬢教育』?とは、何なのでしょうか・・・。

てっきり、王太子妃教育かと・・・。


おずおずと手を上げ発言を求めたのは王宮の歴史やしきたりに精通している現王妃殿下の王妃教育も担当されたベテラン講師。


「・・・ええっと、王妃殿下。つかぬ事をお尋ねしますが、『悪役令嬢教育』とは一体・・・?」


「あら嫌だ!私ったらそのまま言ってしまいましたか」


お茶目にテヘッとした王妃殿下の可愛らしさに昇天しそうになりながら私は必至にその先の御言葉を待ちました。



「行って頂くのはあくまでも、れっきとした素晴らしい“王太子妃教育”をお願いするわ。」


そのお言葉に皆、ほっと胸をなで下ろしました。



「ただね、少々込み入った訳があってラビット公爵令嬢には“悪役令嬢教育”を行っているという事にしてほしいの。」



状況はよくわかっていませんが王妃殿下の頼みとあらば断る訳にはいけません。

私たち講師陣は顔を見合わせ力強く頷き合いました。


もちろん、王妃殿下へのお返事は御意。



皆で力を合わせてラビット公爵令嬢を立派な王太子妃基、悪役令嬢にしてみせましょう。




―――その後、王宮にて「そんな事では立派な悪役令嬢は務まりませんよ‼」と言う声が頻繁に聞かれたとか、聞かれなかったとか。。。








6歳の時から婚約は結んでいたのですが世間には公表されておらず、本格的な王太子妃教育を受ける為のエキスパート講師軍団です☆


それにしても、悪役令嬢ってなんぞ?

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