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後日談

 弘恵未亡人が自殺してから二日後、雪が止んで私達は無事に下山する事ができた。

 ちなみに、粉雪城は「こんな所、残すべきじゃないわぁ」という円佳の意見によって燃やされ、跡形もなく消えた。


 その後、警察によって事件についての長い長い事情聴取がなされたが、私達は誰一人として口を割らなかった。

 本当に、萌や佐和子、輝実が残っていなくて良かった。もし彼女らならペラペラ喋ってしまっていただろうと思うと、ゾッとする。


 築城弘恵については、私、菜歩、みずき、円佳、千博の全員の総意によって、殺人鬼への恐怖により気が狂った故の自殺という話で片付け、警察は誰も疑う事はなかった。


 そうして事件は結局表向きは未解決とされ、そのうち忘れ去られる事となる。

 ――私達以外には。


**********


 ――三年後。


 十八歳となった私こと堀礼沙は、現在高校三年生。有名大学進学へ向けて頑張っている。

 将来の夢は警察官になる事だ。


 廣田菜歩も同じく成長し、今は探偵を目指して勉強中らしい。


 私も彼女も、あの事件がきっかけで大きく変わったと言って良いだろう。

 私達はそれぞれ、あんな事件を二度と起こしたくないという思いから、今の進路に決めた。

 あの日々はそれ程に、私達二人の心に深く残っているのだ。


 築城円佳はよりスキーに励むようになり、なんと今では十八歳にして立派なスキーのスポーツ選手として活躍、これまでに三つのメダルを手にしている。


 築城千博は円佳の母親代わりとなり、あの事件の悲しみを胸に秘めながらも、娘と幸せに暮らしているという。


 そして磯道みずきは下女を続け、今も築城家で働いているとの事だ。


 ――十二月三十日、とある墓場にて。


 私達は久し振りにみんなで集まり、墓参りをしていた。

 あれから毎年、築城親娘とみずきは墓参りをしていたらしいが、私と菜歩は何かと忙しく来る事ができていなかったのだ。


「まぁ。礼沙ぁ、菜歩ぉ、久し振りねぇ」


 美人に成長した円佳が、華麗に微笑んで手を振って来た。


「うん、ほんと久し振りだよねー」


「円佳、元気だったみたいで本当に良かったわ」


「あたくしめも忘れないでくださいよー。せっかくの再会なのに寂しいじゃないですかぁ」


「みずきさんは相変わらず馬鹿なのね」


 そんな風にひとしきり再会を喜び合うと、私達はそれぞれ、横並びにされた事件の犠牲者達の墓と向き合う。


 私は萌の墓に。菜歩は輝実の墓に。円佳は佐和子の墓に。千博は姉の弘恵の墓に。


 私は萌の墓を見つめながら、あの事件を思い返す。


「本当に、色々な事があったわ……」


 なんだか不意に涙が目に溜まり、情けないなと思いながら、私は静かにそれを拭った。

 ――これは悲し涙ではない。懐かしさから来るものだ。


 被害者達に同情はしない。同情はしないが、彼女らの犠牲を糧にして、私はこの先を生きて行くのだ。

 そう心に誓いながら、私は墓石に水を掛けた。


「墓参りが終わった事だし、どっか食べに行こうよ! 菜歩、話したい事色々あるんだ」


「良いですねー。あたくしめ、腹ぺこですよぅ」


「そうだ、ピザでも食べに行こうかね」


「賛成だわぁ。礼沙ぁ、行きましょぉ?」


 みんなが呼んでる。行かなくちゃ。

 私は墓から離れ、彼女達の元へ歩き出す。


 最後にチラと墓を振り返り、微笑んだのは、周囲はおろか、私すら気付かない事であった。


                                  (完)


 最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

 もしご意見がありましたら感想を、面白いと思ってくださいましたら評価を心よりお待ちしております。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 動機は終盤までわかりませんでしたが、初めから殺すつもりで読み寄せた可能性と、子供より大人の方が実行しやすいことから、弘恵さんと千博さんの共犯を疑っていました。
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