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【完結】贄の聖女  作者: 黄昏睡(たそがれ すい)
3/11

聖女の儀、前々日

ひどくお腹が空いた。


初めての感覚だった。

いつも手の届くところに、果物や木の実など何かしら食べる物があったから。

私は今まで、神殿で大切にされてきた。



大切な生贄として。



浮かんだその言葉にぞっとする。

でも、それが事実だった。

二十年に一度の儀式で殺すために、大切に育てられた生贄。それが私。

大切に。でも逃げられないように。

健やかに、穏やかに。儀式で命を落とすその時まで、そうと知らせないまま。



---



街でも森でも生きられず、かといって神殿にも戻れない。

私は行き先も決められないまま、街にほど近い森の中でうずくまっていた。


どうしよう。

どうしたらいいんだろう。


途方にくれる。

親しいと言えるのは、神殿の人たちだけ。

街や村にも知り合いは大勢いるけれど、それは「聖女」と「民」として。

何かを個人的な頼めるような関係ではない。


私には、こんな時に頼れる人はいないのだ。


その事に気づかされた。



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