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【完結】贄の聖女  作者: 黄昏睡(たそがれ すい)
10/11

聖女の儀、当日 side 商人

興奮に満ちた怒号の響く中、執行人の掲げた剣が勢いよく振り下ろされた。

剣が床に当たるガキンという音。次いで広場が一瞬の静寂に包まれる。

胴から切り離された聖女の首が、高く遠くへと飛ぶ。

そして、地面にぼとりと落ちた。

その瞬間


「「「「「「「「「ぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」


これまで以上に大きな人々の叫びが響き渡った。

地面が踏み鳴らされ、広場が揺れる。







執行人の剣により女の首が胴から離れた瞬間、私の中にあった不満や恨み、怒りなど負の感情がすっと消え失せた。そして幸福と解放感で心が一気に満たされる。

穢れがこの世から消滅した証。

名状しがたいほどの晴れやかな心地。


広場にいる全員が、同じ気持ちなのだろう。皆の顔は、喜びに満ちあふれ輝いている。感動のあまり、涙を流している者も少なくない。私も泣きながら周り中の人と抱き合って、穢れが祓われた喜びを分かち合う。

近所との揉め事や家族とのいざこざ、仕事上の厄介ごとに友人、恋人との諍い。社会への不満。

その他諸々、日々積もりに積もったわだかまりや怒りの全てが、今この瞬間人々の心から消え去っていた。

皆が幸福一色に包まれる、二十年に一度の素晴らしきひととき。






良かった。





これも全て、穢れが祓われたおかげ。

聖女様にこの世の穢れを移し、滅することができたから。

聖女様が、我々の為にその身を捧げてくださったから。

だからこそ、全ての人にこの幸福がもたらされた。






本当に、良かった……。





私は神に心からの感謝を捧げ、喜びを深く深く噛み締めた。



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