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長い睫毛 スラリと伸びた手足。


真新しい白いシャツがよく似合って 初めて見た時 なんて綺麗な男の子なんだろうと思った。


客席で 店長と面談している彼と目が合って、思わず 観葉植物の陰から力一杯手を振ってしまった。



……私のマイナーな趣味に それは嬉しそうについてくる佐藤くん。


「退屈していない?」


「いいえ。ちっとも。」


「ならいいけど。」


よく笑い よく喋って、初めて会ったときの冷たそうな横顔が信じられないくらい。


「 あの時は、初めてひとり店舗に配属になってすごく緊張してたんです。


その時鈴木さんが笑顔で手を振ってくれて。


なんて優しそうな人だろう。こんな人と一緒に働けてラッキーっておもいました。


実際 とても優しくて。 もうひとりの鈴木はむかつく馬鹿だったけど。」


「若葉ちゃんは新人社員に厳しいから。佐藤くんのせいじゃないわ。」


「僕も名前で呼んでいいですか。」


「もちろん。最初から言ってるじゃない。」


(カナデ)さんのほうですよ。」


「…はい。」


「僕も名前で呼んでもらえませんか。」


「えっと ショウくん…?」


(カケル)です。」


「だって前に 同期の子たちが遊びに来た時 ショウって。」


「愛称です。全く 履歴書くらい読んでください。僕なんか奏さんの100回くらい見ましたよ。」


「ははは。」


「冗談いってないですよ。ひどいな 、1年も一緒に働いたのに 名前も 覚えていてくれないなんて。」


「それは、ごめんなさい。 」


「 お詫びして欲しいな。髪の毛ほどいていいですか。おろしたところ見てみたい。」


「 え ここで…?」


「人目がないと、もっと悪いことしますよ?」


いたずらっぽく虹彩をきらめかせて、佐藤くんは私の後頭部に手を伸ばした。


「営業中のまとめた髪も 首筋がよく見えていいけど。ずっとこうしてみたいって思ってました。」


肩よりも少し長い髪を口元に持っていく。


「待って。 近すぎない?」


そのまま 上手に片目をつぶってみせた。


「意識してもらおうと頑張っているんです。大目に見てください。」









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