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夜半に降り出した 雨の音も聞こえない。


カフェの事務所は窓のない部屋にあって、閉店作業をしていると世界から取り残されたような気持ちになる。


明日から新店舗へ異動になる私は 後輩社員の佐藤くんに最後の引き継ぎをしていた。


「明日から 鈴木さん 店にいないんですよね。仕事に来るのがいやになりました。」


「えっ?」


前置きもなく言われ驚いて隣を見ると、頬杖をついた 綺麗な顔がまっすぐ私をみていた。


「そんなにおどろいた顔しないでくださいよ。」


「ええと もしかしてそういう意味で言ってる?」


「そうですよ。僕いつも好意向けてたでしょう。本気にしてなかったってことですよね。傷つくな。」


小さなため息。


「ご ごめん」


「謝らなくていいんで、今度の休みデートしてください。」


「…まだ 次の休み聞いてなくて。」


「じゃあ わかったら連絡してください。」


「………」


「僕の連絡先知ってますよね。絶対ですよ。」


「佐藤くんってこんなに押しが強い人だった?性格変わってない?」


「猫被るのやめました。はっきり言わないと通じない人みたいなんで。」


佐藤くんは椅子を回して私に近づく。


首元を開けたシャツから覗く 白い喉仏が目の前にきて。


「…ちょっと待って。近いわ。」


「ああ、下がらないでください。椅子から落ちますよ?」


佐藤くんは 耳に触れるほど近くでささやいた。


「好きです。付き合ってください。」




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