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異世界転移でホムンクルス無双  作者: 雪川フフ
第一章 いざ異世界へ
3/14

#02 ワク○クさんとか比べ物にならないレベル

 1、台所に置いてある大きめの容器に賢者の石と属性紋章以外の材料を全て入れましょう


 2、作り出したホムンクルスはあなたを主人とします

  血の情報を入れて登録しましょう


 3、最後に属性紋章を入れましょう

  これによってホムンクルスの得意な属性が決まります


 4、賢者の石を持って今から配下に置くホムンクルスをイメージしましょう

  尚、ホムンクルス作成には多量の魔力を必要とします

  万全の状態で行いましょう


 5、下手すりゃ死ぬけど自己責任で(笑)



「(笑)じゃねぇよっ!」


 レンはそう言うとホムンクルスの作成手順が書かれた紙を床に叩きつけた。もちろん、この紙の筆者もロキである。「下手すれば死ぬ」と書いてあるあたり、本当に生かしておきたいのかわからない。


 が、ここでやらないのも負けた気がするので渋々と容器を台所に取りに行った。書いてある通り、台所には大きめのタライのような平たい入れ物があった。テーブルを退けたログハウスの中央に置き、これも書いてある通りの材料を入れ、そのまま親指に針を刺して血を一滴落とした。


「これってまさか錬成できたら身体持っていかれる、なんてことないよな…ないよな?」


 下手すれば死ぬ、というのは身体丸ごとを持っていかれる、ということかもしれない。その場合、地球にあった漫画のように、自分の魂を鎧なんかに定着させてくれる人などいない。


 少しの恐怖を抱えながらも好奇心が勝り、属性紋章を手に取った。これもロキからもらった物であり、端的に言うと属性魔法を押し固めた物だ。これの作成自体は難しくないが、並の魔術師だととんでもない時間がかかる。良いものを作るには時間をかける。これぞ職人の鑑。


 今回用意されていた属性紋章は火属性で、光を反射して微かに赤黒く光る六角形の結晶の中央には、黒い蜥蜴が刻まれている。おそらくサラマンダーという名の、地球では架空上の生き物。

 レンはそれを容器に入れ、最終段階に移った。


「…不確定要素満載だが、やるしかないか。」


 実はこの行程だが、声に出した方がホムンクルスのイメージをまとめやすい。しかし、ロキはそれを知っていながら書いていなかった。

 声に出した方が脳内で今からすることをイメージしやすい、というのは既に地球でも言われている。脳が活性化して記憶力もアップするとのことだったが、レンには全く関係ないことだった。


 なにせ一度見たものは絶対に忘れない瞬間記憶能力カメラアイを持っているからだ。ロキはこれを知っていた。これはレンが生まれた時から持っている能力で、一度見たものをカメラで撮った写真のようにもう一度脳内で見直せる、というものだ。

 細部に至るまで再生できるため、教科書や参考書は速読を合わせれば1日足らずで習得し終わってしまう。暗記科目キラーでもあるこの能力だが、そのせいで気味悪がられた事実があることも否定できない。当時わずか3歳の子供が一度読んだ本の内容をペラペラと完璧に喋り出せば少しはそうなるだろう。


 閑話休題。

 早速レンは自分の脳内で固め始めたイメージを強く想像し始めた。


(まず必要なのは俺がこの世界で生きていくためのサポート役だ。ある程度の知識を持っている必要がある。そのためには話せるほどの知能が必要だが、賢者の石を使うからその辺は心配ないはずだ。あとは一人にしたとしても戦える、あるいは逃げることができる程の身体能力と戦闘能力か…最初にしては高望みしすぎか?)


 更に強く想像しながら賢者の石を右手と左手の間でボールトスをするかのように投げていると、ちょうどその中央で賢者の石から黒いスパークが飛び出た。何本にも枝分かれしたスパークはある程度の太さになると容器の中央へと収束し始めた。竜巻のような何かが中の材料を巻き上げるかのようにして覆っていく。ログハウス内の空気はなんとなく暗くなっていき呼吸が苦しいような感覚に襲われる。

 と、その時、レンの身体がいきなり床に崩れ落ちた。急なことに本人も驚くが、立とうとしも立ち上がれず、それどころか視界がぐるりぐるりと回転し始めた。


「ハハッ…なんだよコレ」


 苦笑いを浮かべてそんな言葉を零すも、骨をハンマーか何かで直接叩かれているかのような激しい身体中の痛みのせいで意識が朦朧とする。


 死ぬ


 直感的にそう思った瞬間レンの頭に浮かんだのは、学年委員長であった咲だった。もしも咲のような人が一緒に来ていたら、いきなりこんな無茶しなかったのではなかろうか。どうにか頭を動かして目を向けた先では、竜巻は赤い渦へと変わり、その中には微かに人影のようなものが見える。

 どうにか手を伸ばすも、心臓が大きく跳ね上がるような感覚を覚えたあと、レンは意識を手放した。


 倒れたレンをも飲み込むほどの大きさの渦は一際強い突風を起こし、黒いスパークを霧散させるかのように急激に衰え、宙に浮いていた賢者の石が床に落ちるのと同時に消えた。

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