イベント08:プレゼントを用意した
時間が足りなくてかなり短いです。申し訳ありません。
決戦は金曜日。
十二月二十四日クリスマスイブ。
武器もしっかり用意した。
といっても、私の武器はお菓子だ。
かわいい店員さんがキャバ嬢だったなら、百万単位のプレゼントが積まれていただろうが、カフェの店員さんだからお菓子にした。
それも、渡せなかったとしても気にならない程度の金額で、なおかつ自分で食べられるという基準で選んだ、スーパーの季節品コーナーにあった数百円のものだ。
クリスマスツリーっぽいイラストが描かれた小さな手提げ袋に、個包装のチョコやクッキーが入っている。
こどものクリスマス会で配られそうな感じのものだから、カフェの店員さんへのプレゼントとしては、そんなに悪目立ちしないだろう。
ラブレターをくれるような関係なのだから、これぐらい大丈夫、のはずだ。
いつも通りに仕事を終え、ゆっくり歩いてカフェに向かった。
緊張しながら店に入ると、気づいた店員さんたちから一斉に声がかかる。
「いらっしゃいませー、ご来店ありがとうございます」
だが、唱和される声の中に、よく通るハスキーボイスはなかった。
さりげなく店内を見回しても、かわいい店員さんの姿はどこにも見えなかった。
「……………………」
とりあえず注文を済ませ、バックスペースに近い席に座る。
耳を澄ませてみたが、新人さんに指導する声は聞こえなかった。
いつもと同じメニューを、いつもの倍ぐらいの時間をかけてゆっくりと食べたが、それでもかわいい店員さんは現れず、声も聞こえなかった。
「……うーん」
ラブレターをくれたぐらいだから、かわいい店員さんの好感度はかなり高かったはずだ。
だが、店以外で会いたいと誘われなかったから、マックスではなかったのだろう。
そこに私が行動を起こした、つまり流れを乱したから、イベントが発生しなかった、のだろうか。
たまには自分から仕掛けてみようかと思ったのは、逆効果だったらしい。
勝負に負けた、というよりは、勝負にならなかった、いや勝負が始まらなかった。
どちらにしろ、寂しい。
バッグの中のプレゼントと寂しいきもちを抱えたまま、自宅に帰った。
いずれ時間を作って加筆します……。
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