設定ってなんです?\2nd/
【前回までのあらすじ】
突如記憶が回復したヴァー=レウス3世。自身が何者なのか、当初の目的を思い出す。一方で記憶喪失を利用し、スペースインバース計画の中止を謀ったロイ=コクロ=リディウム7世は何者かに写撮され、姿を眩ます。
そして、参謀長であるロイが謎の失踪との報告を受け、パニック状態に陥ったヴァーは
「私は、転生してきたのだ…」
「螺旋の渦に呑み込まれ!刃を鞣して研ぎ澄ませ!」
「さあ、始めよう…懐柔を!」
など意味不明な発言を夜な夜な呟くようになるのだった
---世界が反転する、そんな懐かしい感覚に身を委ねる。
何故だろう、とても暖かくて儚い…ふと手を伸ばせば瞬く間に闇へと姿を変える不安定な温もり。
ああ、そうか…そうだったのか。
たとえ、手掛かりの糸が細く脆くても、確実に手繰り寄せてみせよう。どんなに暗く険しい道のりだとしても…そこに一筋の希望があるのなら!
「キーワードは、【●●●ー●●●●】よ!」
「待ってるから…ね!」
---------
・・・・・
・・・・
・・
目が覚める。草特有のむず痒さと絶妙な土加減が気持ち良い。
眩しい日差しに、鳥のさえずり、木々の擦れ合う音色、普段と変わらない朝に安堵する。
おぼろげになりつつある夢-訳が分からない。当然か、夢なんて記憶の掃除にすぎない。いつもならそう割り切ってるところだが、今回は何か引っ掛かり釈然としない。
そんなモヤを残しつつ、今日も日課に取り掛かる。
「キーワードねぇ…何かの番号か?」
「まあいいか、腹が減った」
日課としては弱いが、起床したら鳥小屋を確認する。産みたてホカホカの卵を朝食にするのだ。だいたい4~5日に1個が目安といったところだろう。
小柄ではあるが扇の様な鶏冠に隆々しい肉垂れ、気品のある顔立ち。数年前に偶然拾った鳥だが、こいつは最高だ。観ているだけでも癒される。
「おっ、ラッキー☆」
珍しく2個手に入ったので、卵を腰巾着にしまい込み、少し離れた街へ食材を求めることにした。
道中で適当に果実を頬張りながら、獲物を仕留めつつ街へ向かった。
程よく収集したところで街へ着いた。
----------
>商業と太陽の街〈サンデモニウム〉
多くの商人が足を止め露店を開く街。なんでも、街全体へ差し渡る陽射しが商売に持ってこいらしい。
活気もあり、住民の笑顔と日光が輝いてる。
住めば都、まさにそんな場所だ。そう思わせてくれる魅力がある。
やはり、ここは眩しい…眩しすぎる。人々の活気が心に沁みる。まだ、街に入ったばかりだというのに、渇きつつあった心が潤いで満たされてく…
しかし、何もかもが久しく感じる。ああ、何故だろう。
「よぉっ、兄ちゃん!今日は何用だぁ?」
「ひぇ!あ、は…は…はいっ!?」
突然声をかけられ、思わず声が出る。
振り返ると商人と言うには不釣り合いな、筋肉質で少し強面な大男が店を構えていた。
「はあ、どうも。どちら様で?」
思わず口に出た。
「ったく、質問に質問でぇ返すとは、悲しぃぞ兄ちゃん。
そんな驚くこたぁねえだろぅ、なぁ…」
不満そうな口振りだが、依然として悠然とした態度は崩れていない。
冷静になり、ちょっとした疑問をぶつけてみた。
「悪い、いきなりで少々驚いた。ちなみに俺の用事は街の食材だ。で、あんたは本当に商人か?」
恐らく商人だろうが、らしく無い見た目なので念のための確認だ。
「兄ちゃんも疑り深ぇなぁ、見りゃ分かんだろ。つっても、こんな見た目だ。あ~あ、このやり取り毎回毎回めんどうだぁ。
つぅ訳で俺は、主に魚を扱ってる。鮮度が保てねぇもんで、干してっけどな。しかし、あまり人ぁこねぇな」
干し魚とはいえ、この近辺では海産物は珍しい部類だ。今日はこれにしよう。
---人が来ないのは、果たして場所の問題か、その見た目か。
「兄ちゃん、俺の名はオルゲンだぁ。以後、ご贔屓に」
「これも何かの縁だ。俺はフリット、つー訳でこの獲物と魚を交換してくれ」
「本来なら、マネなんだがぁな…。ほれ、初回サービスだ。客ぁ久しいんでな。今度ぁマネ持って来いよ」
「ああ、助かる。ところで、次は街中で商売したらどうだ?」
「ふっははははははぁ、断る。じゃあ、またなぁ変わった兄ちゃん」
「ああ、そうか。繁盛するといいな」
用事もすんだところで目と鼻の先にある帰路へ向かうのだった。
----------
道
を
戻
り、
街
か
ら
出
る
と
宿
屋
にい
た
宿屋にいた。
「は?」
何かに一瞬でバラバラにされた恐怖、な、崩れ、わ、れる。そんなおぞ、い光景を、験した、がした。
た、た、たぶ、多、気のせ、きの、気のせい、せい、せい、もうが、も、し、かし、たら、らら
ら
し、しか、かし、こ、こ、こ、こ、かし、し、かし、い、お、お、お、
さか、さ、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
「もう、遅いよ!待ってるからね!早く!来て…ね!」
「…ね!」
「…ね!」
「…ね!」
「…ね!」
「…ね!」
こだまする、謎の声…
何かに干渉して、砕けて破片となったアレが再び集結した。
もう、どうにでもなれ!意味が分からない。普通の生活を、ちゃんとした行動を、冒険を、俺は求める!
「わたしは、キマグ!貴方は、いえ、この私でさえも制御不可能なの。実際、そうでしょ?こ~んなぐっちゃぐちゃな世界だよ?一体誰が好んで…いいえ、何者かの意思で壊れた世界、住める訳無いじゃない!あなたならわかるよね?」
「誰に話してる…キマグ!俺は、お前は、ここは…一体なんだ?答えろ…俺の生活を返してもらうぞ!俺の、無くしたモノを…」
「残念だけど、あなたの名前"フリット"も私の名前の"キマグ"、ましてや、商人の"オルゲン"、街の"サンデモニウム"。全てが全て、正しいとは限らないの」
「知…る…かあ
あああ
あああ
ああ
あああ
ああ
あああ
あ
あああああ
ああああ」
「じゃあ、なんの為に俺は、この世界は、あるんだ…?」
「そんなもの、知らないわ。勿論、だ~れも…だ~れもね。1つ確かなことは、世界は簡単に壊れ、簡単に創造できるってことね。出来の良し悪しはあるけど。でも悲観しちゃいられないの。私たちは、生を受けてるのどんな形であれ、また、何にしたって。それでも私は、この世界を創った創造主は許せない。絶対に。きっと私だって、この創造主だって、この創造主の創造主だって、理解は出来ないの」
「お前が何いってるか俺には分からない…ただ、簡単にってひでえよな。それだけだ」
「そうね。きっとそのとおりだわ。」
「なら、
好き勝手にめちゃくちゃにして
あとで怒られてもしりませんよ
あ~あ、これはこれは勿体無い




