1. 自分の苗字と同じ名前の寺発見。
僕の名前は転界七世、高校生。
変な名前だろ?笑うがいい。
父さんにどうして父さんの名前が六世で僕が七世なの?と、聞いてみた。
すると父さんは。
「ウチは代々、一世、二世と、この名前を受け継いでいる。文句はナシ」
そんな勝手な。
母さんにも同じように聞いてみたが同じようなことを言われておしまいだった。
家にいるのはつまらなかったので(宿題から逃げてきただけだが)いつものショッピングセンターに向かった。ホントはこんなことしているような余裕はないのだが、また留年に一歩近づいた。
ショッピングセンターは家からだとすこし遠い。だが、僕はそこを歩いて行く。いろんな道を見ながら歩くのが好きなのだ。3年は通っているだろうか。もうこのあたりで見たことない道はほぼない。
今日はまだ見たことない道を探すことにした。あまり大きくない、見つかりずらそうなところを探す。
すると案外簡単に見つかった、森にぽっかりあいた、小さな道だ、まだ知らない道が結構あるかも知れない。
果たしてこの道はショッピングセンターに繋がっているのか。新しい近道の予感だ。
奥に寺のような建物が見える。
「あそこで行き止まりかな、」
すこし残念だ。新しい近道が見つかると思ったのに。
「まあ、奥に道があったらそこを進むか」
寺を横切り、奥に進んだがやっぱり行き止まりだった。
きびすを返し、寺の前に出る。
こんなところに寺なんてあったかな、、
ほのかな疑問を胸に寺の名前を確認した。
〈転界寺〉
ふむ。自分の苗字の寺か、面白そうじゃん。
ショッピングセンターなどはもうすっかり忘れた。
お賽銭箱の前から寺の中を覗いた。
、、、特になにもなかった。
まぁ、こんなところにある寺、特別でも何でもないか。
「どなたですか?」
後ろから女の人の声がした。
振り返るとそこにはなにもなかった。
「、、どこにいるんですか?」
「あなたの目の前ですが?」
ワケわからん。どう見ても目の前にはさっき通ってきた道とただの森だ。
「この世界の人の魔力では見えませんよ。声を聞く程度の魔力は持っているそうですが、」
「、、、」
この世界の人の魔力って。この声の主は厨二病かな?
「厨二病ですか?」
「ッッ!ちッ、違うわい!ちゃんと話聞いてた?魔力が少ないから見えないって言ったでしょ!?」
「いや、魔力って言ってる時点で厨二病だろ。いいから早く出てきてよ。めんどくさい」
こういういたずらする奴がいるとはな、やっぱ散歩は面白いなー。
「また人を馬鹿にして!いい加減起こるわよ!?って、なんであんたはこんなところにいるのよ?」
「散歩してたら着いた」
「散歩してたらって、普通着かないわよ。そんなことで、転界家のお寺が見つかったらたまんないわよ、、、あなた名前は?」
「転界七世だ」
「ううぇ~!?まさかほんとに転界の人?やったー!」
何なんだコイツ。確かに僕も自分の名前の寺があるとは思わなかったが。
「、、コホン。改めまして私は、転界家に仕えております。聖霊王が娘。時空の聖霊。時空神でございます。今後七世様に仕えさせていただくことになりました。何卒、よろしくお願い致します」
「、、、」
どう反応すればいい!?いきなり出てきた声だけの奴にいきなり仕えさせていただきますとか
わけわからんから!
「詳しく説明求む」
「つまり、七世様は私の主にございます。これからよろしくお願いしますね☆」
説明不足だろ。
「具体的にこれから僕はどうなるの?」
まだ宿題終わってないから早く戻らねば。宿題残しといてよかった。
「これから七世様は聖霊王に会っていただきますので、聖霊王の指示によりますね」
「これからって、、どこにいんの?」
「どこと申されますと答えかねませんが、とりあえず行ってみましょ~」
時空神が僕の腕を引っ張る。ちょ!見えてねーから!
「ちょっとまッ、、」
刹那、ブオンと空中に放り投げられた感覚に襲われ、意識は途絶えた。