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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

教えてやる!チーレムに絶倫というスキルを入れるとどうなるのかをな!!

作者: ナベ奉行

くだらない短編を思いつきました。よければどうぞ。


俺は異世界転生を成し遂げた成功者。

もちろんチートもハーレムもある。


俺の奴隷ハーレムには数多くの種族が在籍している。


エルフに猫、犬、鳥など獣人だけでなくドワーフもいればヴァンパイア、竜人やゾンビ娘、クモ女などのモンスター系、精霊系まで取り揃えた自慢のハーレムだ。


貴族の地位も得て、冒険者としても絶大な成功を収めた俺。内政チートもスキルで上げた知能の前には児戯に等しい。こんなにも簡単に人生の勝ち組になれるとは女神様々である。


この恩に報いるためにいずれ女神も俺のハーレムに入れてやろう。そんなことを思いついた。


さて、そろそろスローライフを目指そうと決意した今日この頃。俺に新たな悩みが出来た。


それはハーレムの女達との夜の生活だ。


俺は毎日違う女を抱いているが、それでは次の機会まで抱かれない女達が可哀想だ。


そこで俺は自分のステータス画面からあるスキルを取ることにした。


《絶倫》


スキルポイントも低いし簡単に取れる。

なぜか永続スキル、解除不可と書かれていたが気にしない。

これで毎晩女達を満足させられるのだから。


そう思って俺はスキルポイントを割り振る。

最終確認画面にも食い気味にYESを連打して取得する。


【スキル《絶倫》を取得しました】


瞬間、俺の体に変化が起きた。


目眩がして、思わず近くの椅子に座り込む。

するとどうだろうか、椅子にちゃんと座れない。


正確には足を閉じることができない。

俺の‥‥巨大化した金玉のせいで。


「えっ、‥‥‥えっ?」


俺は思わずそれを触る。柔らかい。体を洗うのに柔軟剤は使っていない。ズボンの中に手を突っ込む。温かいなり。


思わず巫山戯てしまう。

無駄な現実逃避だ。


落ち着け、解除すればいいだけだ。

ステータス画面を開いた。

ちゃんと書いてある。解除不可と。

作者も書いていた。解除不可と。


「なんじゃこりゃぁぁぁ〜〜!!」


俺は叫んだ。あらん限りの絶望を込めて。

俺の叫びにハーレムの女達が集まる。


「どうなさいました、ごしゅじんさ‥‥‥えっ!?」


俺のズボンの異常な膨らみに動揺するハーレムの女達。

まじまじと見てる。中には笑っている女もいた。


「黙れ!!」


俺は羞恥心と笑われた怒りで奴隷に命令する。

俺の命令に奴隷達の首輪が一斉に反応し、彼女達の首を絞めた。


「もういい!!」


首輪の拘束を解除する。

なんともいたたまれない空気になった。


その夜、俺は食事も部屋に運ばせて引きこもった。

なんとかこのサッカーボール、いやゴールドボールを元に戻さなければならない。


必死でステータス画面から解決方法を探す。

唯一の可能性は《TS》スキルだった。


これだけは嫌だ。

女になんてなりたくない。




金玉事件から数日、俺は我慢の限界だった。

毎日女を取っ替え引っ替えだったのだから仕方ない。


俺は1人、風呂場で人間発電所とかした。

俺が絶頂を迎えた時、それは起こった。


物凄い勢いで出るのだ。

量もヤバイ。ナニコレ。1リットルくらいあるかも知れない。


出し切った後はなんともいえない開放感が俺を満たす。

あぁ、宇宙を感じる。規模でいうとそれくらいの感動である。自分でも何言ってるか解らない。


翌日、俺のハーレムどもが何やら騒がしい。

俺は《隠密》スキルでこっそり近づいて、話の内容を耳にした。


「ねぇ、見た?あのキモい金玉?」


「見た見た!何あれ、ホントキモいよねぇ〜」


あれは、割と最近購入した熊獣人とドワーフ。


あいつらぁぁぁ、俺への恩義を忘れ勝手なことを!!


「しかもすっごい出るんだって。風呂場の掃除大変だったらしいよ。掃除担当の子が臭い臭いって騒いでたから」


「うわぁぁ。引くわ〜。あんなに金玉デカくしてまでヤリたいのかよ。ただでさえ下手くそなのに、嫌だなぁ」



‥‥そういえば昨日の風呂場そのままだったな。

いや、それよりもう奴隷どもに知れ渡っているのか。



「でもさ〜。あんな金玉であいつ、よく人前に出れるよね。ホント頭の中どうなってんだろうね」


「言えてる。なんか自分はモテるとか勘違いしてる上にあの金玉でしょ。いっそ死んでくれないかな」


「ちょっ、誰かに聞かれたらどうするの?」


「大丈夫よ、あいつと一番付き合いの古いエルフ先輩がよくタバコ吹かしながら言ってるから」


エルフの野郎‥、なんだよ。俺にはいつもあなたの奴隷で幸せですって言ってたのに。


「えぇ、あのエルフ先輩そんなこと言ってるの?あの人だけはあいつに惚れてる頭のおかしい人だと思ってたのに」


「馬鹿ね、そんなの目を見ればわかるでしょ。この屋敷の奴隷であいつのことを好きなやつなんていないわ。それにあの金玉よ、そんな奴未来永劫現れないわ」


俺は自室に戻った。

ハーレムの奴隷達を満足させる為に取った《絶倫》スキルなのに、俺は嫌われ者らしい。おまけに下手くそだと。


俺は自分の金玉を見る。

憎い、お前が憎い。金玉よ、何故大きくなったのだ。お前さえそのままだったのなら俺は幸せなままで入れられた、もとい、入れたのに。今じゃ何処にも入れない。


次の日、大広間に集めた奴隷どもを全員解放して出て行かせた。解放の条件に俺の金玉のことを内密にするという契約を交わした。


奴隷どもは失笑しながら取引に応じた。




広い屋敷に1人だ。

ツライ、まるで前世の自分に戻ったみたいだ。

誰にも愛されず、誰にも関心を持たれず、ただ1人の孤独。




幸い、金はある。

今後は性欲以外で欲求を満たそう。



数日で飽きた。

いつも美味いもの食べていたのだから当然だ。

その日俺は人間発電所に返り咲く。

確かに掃除は大変だし、臭かった。つらたん。



あまりに辛すぎて《konozama》スキルで購入したパソコンで2chに書き込んだ。


スレタイ 絶倫スキル取ったら俺の金玉がサッカーボール並みに膨らんだんだが


レスは一件。

働け、とだけ。


数日前まで人生の勝ち組だったのにニート扱いである。

つららたん。



何か趣味でも見つけよう。

そうだ、元々スローライフを送るつもりだったのだ。

家庭菜園や釣りでもして心穏やかに過ごせばこの心の傷も癒えるはずだ。




騙された。何がスローライフだ。俺はまだ若いんだぞ。少なくとも今生ではだ。

あいつらには女がいる。だからスローライフなんて言えるんだ。1人でスローライフやってみろよ、速攻飽きるわ。

だいたいスローライフってそもそもなんなんだよ。

働きたくないなら正直に言えや、レスしたるわ。


荒れに荒れた。



俺はこの金玉と共にここで1人孤独に暮らすのか。

いっそ《TS》スキルで女になるか。

そしたら誰か俺のこと好きになってくれるかな‥‥。



ある日の夜、俺は領地を散歩していた。

最近の日課だ。日中では金玉を人に見られる。

それだけは嫌だ。



まるで親の目を盗んでコンビニに行く燃えないゴミのようだ。

俺の心は今、とても静かだ。穏やかなのではなく、酷く冷めきっている。




俺は普段《通信》スキルで誰にも会わずに内政を行なっている。金玉のせいだ。人に会うのが怖いのだ。

だが、それだけではダメだ。ちゃんと自分の目で見ないと。そんな思いからの視察散歩だ。最近は仕事に逃げるしかないからな。


今日はいくつかの村を見て回った。

俺が行なっている公共工事は順調のようだ。


「‥‥ごほっ‥‥」


帰り道、みすぼらしい小屋の前を通りかかった時、それは聞こえた。


こんなところに誰が住んでいるんだ?


《隠密》スキルで中に入る。

そこにはボロい布切れにくるまり震えている女の子がいた。なんだ、こいつ。


《鑑定》スキルで見る。サラ、13歳。この歳でこんなに小さいのか、メシ食ってるのかこいつ。あ、こいつ捨て子だ。可哀想に。他には‥‥状態 衰弱 そして盲目。


この時、俺の頭に電流走る。

そうだ、こいつを引き取ろう。見られなければ恥ずかしくないんだ。もう1人でいるのはつららららたんだったのだ。


俺はこの子をお姫様抱っこして連れ帰った。




翌朝目を覚ました彼女に状況を説明。

俺の《回復魔法》で治したことも伝えた。盲目はそのままにしたが。ここで暮らせと言ったら喜ばれた。

ありがとうございますと。よしよし、そのまま俺を敬うがいい。



拾ったのはいいが、こいつにまだ仕事をさせる訳にはいかない。俺は久しぶりに厨房にたった。ここで活躍するのは《料理》スキル。《konozama》スキルで購入した米を使い、粥を作る。消化にいいものの方がいいだろう。



出来たものを持っていった。

食わせようとしたら、自分で出来ますと言ったのでスプーンと皿を渡した。だが、器も熱いので最初は俺が手を掴んで誘導する。これくらいはいいだろう。


完食したら彼女、サラは恥ずかしそうに言った。

トイレに連れて行ってください、と。


俺はサラの手を掴んで再び誘導する。

一応、前世の最新トイレだ。使い方を説明するが、案の定適当にボタンを押したんだろう。パンツをずらしたまま出てきた。俺は笑った。久しぶりに笑った。


再び部屋に連れ歩き、着替えをやった。前の奴隷どもが置いて行ったものだ。それを渡して部屋を出た。



なんか、楽しいな。人の世話なんて面倒なものとばかり思ってた。




サラは回復したら、仕事を下さいと言ってきた。

‥‥こいつ、伽をするとかぬかしやがる。そんなことが出来るなら俺は孤独になっていない。忌々しい金玉を睨む。意味はない。


とはいえ、何もさせないのは心の健康に悪い。スローライフで体験済みだ。



とりあえずは屋敷を連れ回した。体にこの屋敷の部屋や家具の配置をひとつずつ覚えさせた。根気よく、じっくりと。



あれから数週間、サラは我が屋敷のメイドとなった。

とはいえ、出来ることはまだ少ない。

だが、一つだけ、一つだけだが立派に務めていることがある。俺の茶を淹れることだ。

サラの淹れる茶は美味い。入れ方は俺が教えたが、今は俺を超えている。毎日練習していたのは知っている。


頑張っている奴を見るのは気持ちがいい。俺もと続きたくなるからだ。昔は恨めしかったのにな。


俺はサラの為に杖を用意した。普段の働きに報いたくなったのだ。



発電所を動かすのもやめた。我慢がいるが、サラには気持ちよく風呂に入ってほしいから。


お昼の鐘がなる。これもサラが来てから付けた。時計が見えないサラに時間を伝える為だ。

最近ではサラと談笑出来るくらいには信頼関係が気付けた。

サラとは話しやすい。二つの意味で俺を見ていないから。

目で見ていないし、顔の向きも俺を見ていない。耳を俺に向けているからだ。見えてなくても金玉を見られるかもしれないという恐怖は拭えなかった俺にとってこれはありがたい。




サラはよく尽くしてくれる。

最近では屋敷の中はほぼ把握している為、迷うこともない。俺が機会を与えたとはいえ、こいつは自ら生きる術を身につけた。すごい奴だ、素直に感心した。チート野郎の自分が恥ずかしくなった。



サラの目を治してやろうと決めた。

だがそれは俺の金玉を見られることと同時に俺があえて目を治さなかったことを伝えなければならない。

嫌われるのは怖い。金玉を見られて気味が悪いと思われるのも嫌だ。自分の為に治療できることを黙っていたことを知られたらどう思われるだろう。



でも、こんなに頑張っているサラに俺は何かしてやりたかった。これは敬意だ。敬意を払うべき人間に対して当たり前のことを行うのだ。



俺は話した。

俺が自分の身体的特徴を見られたくない為にあえて目を治さなかったこと。

サラを拾ったのはただ寂しかっただけだったということ。

嫌われるのが怖くて今までそれを黙ってたこと。

そして、今から目を治すということ。


俺は彼女の返事を待った。

怖い、本心を曝け出すのもそれに答えが返ってくるのも。

今まで調子に乗っていたツケを払わされてるみたいだ。


「そうですか‥‥」


そう言って、黙るサラを見つめた。

だが、返事は俺の予想したものではなかった。


「別に治さなくてもいいですよ。特に困ってませんし」


「えっ!?いやいや、目が治るんだぞ。見えるようになるんだぞ。なんで‥‥」


サラは何を言うのかと、そんな顔をして当たり前のことみたいに言った。


「主人である旦那様が見られることを嫌がるのであればお断りするのはおかしなことではありません」


「いや、でも‥‥。俺の都合でそのままにしてたんだぞ。嫌じゃないのか?」


「来た当初であれば、そう思ったのかもしれません。ですが、今はもう旦那様を憎むことは出来ません」


サラは続けた。


「旦那様は家族から役立たずと言われ、捨てられた私を引き取り、仕事を与えてくださいました。仕事があるということは、私が世の中に必要な人間であるということの証明です。それをくださった旦那様をどうして憎めるんでしょうか」


「俺は、俺はそんな立派なことはしていない。ただ自分のことだけを考えてお前を利用したんだぞ。俺はお前に何もしてない」


そうだ、頑張ったのはこいつだ。俺なんかじゃない。


「いいえ、旦那様は居場所をくださいました。それに、旦那様はとても領民から慕われております。善政を敷く名君だと。そんな方のお力になれるのはとても誇らしいことです」


チート使って適当やっただけだ。


「でも、俺は金玉が、こんなだぞ。キモいだろ。離れたいだろ、こんな男と‥」


「いいえ」


そう言って悪戯っ子のように微笑み、


「私、見えてませんので関係ありません」


俺は泣いた。

自分より年下の女の前でみっともなく泣いた。


サラは俺の頭を撫でてくれた。

それが嬉しくて、子供のように泣きついた。










あれから3年、サラは今でも俺の屋敷にいる。

結局目は治した。なぜかというと、そうしないとこの子の顔が見れないからだ。


俺はサラを見つめる。


サラの腕の中には安心しきった無邪気に笑う赤子がいる。


「俺が抱っこするよ、いいだろう?」


「ダメです、旦那様に家事をさせる訳には参りません」


「ずるいぞ、俺だって抱っこしたいんだ」


そう言うとあの時のように微笑み、


「しょうがない人ですね、本当に‥」


そう、優しい声音で答えた。













読んでくださってありがとうございます。

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