夢幻列車
ゆらりゆらりと揺さぶられ。
気付けば僕は寝てたみたい。
左肩に仄かな暖かさと重みを感じ、そちらにふと目をやると。
疲れ切った君がすやりすやりと眠ってた。
僕に寄り添う君の事。
左手でそっと撫でてみる。
ふわりふわりと優しい香りが、僕の鼻孔をくすぐった。
外は既に夕方で。
真っ赤な日差しが揺れる闇面をキラキラと輝かせている。
さっきまでいた乗客は、誰一人として残っていない。
僕と君は二人きり、古びた列車で揺られてた。
「ん……あっ、ごめんなさい……」
君はそっと目を覚まし、咄嗟に背筋を伸ばしてみせた。
その顔は夕日に照らされてなのか、少し赤く見えた。
ふと窓の外を見てみれば、少し遠くに街が見えてきた。
闇底の街と打って変わり、ビルや建物が折り重なり、巨大な城のようだった。
「わぁ!あれが終点ですかね!」
「うん、そうみたいだね!」
僕と君は窓から身を乗り出して、外の景色を眺めてた。
やがて日が落ち暗くなったが、街は煌びやかに明るくて、なんだかちょっと暖かい。
スポットライトが空を照らし、なんだか夢の国のようだ。
天井のスピーカーから、冷たいノイズ混じりの声が流れてくる。
『本日もご利用ありがとうございました。次は中央街城、中央街城です。お荷物、お体、お目玉、お耳、大切なモノをお忘れ無きよう、お気を付けください』
電車は陸に乗り上げて、街へ向かって地上を走る。
心地の良い風が、僕と君の髪を揺らした。