「この世界……管理されているんでしょうか」
あまりにも! 遅くなってしまいました!
申し訳ないです……特に何もないのに更新できていなかっただけです……。
白亜の言葉を聞いたセグルズは数秒考えこむ様子を見せたが、大きくため息をついて両手をあげた。
「もういい、わかった。今回はこちらが折れる事にしよう。だが、君に貸し一つだ。わかったね?」
「……エレニカさんに、じゃなくていいんですか?」
「そう言っていいのならそうしたいところだが、流石にそこまではエレニカ派が許さないだろう。君に初めて会った時に名前を名乗ったのはこちらだからな。サービスだ」
白亜ができることなどセグルズから見れば大したことはない。
ポテンシャルがいかに高かろうと、白亜はまだまだ成り立てであり、セグルズからすれば子供である。
その子供に貸し一つ作ったところで却ってくるものが少なすぎるであろう事は想像に難くない。つまり、実質タダで手助けすることを決めた事になる。
白亜の手助けをしたということを盾にとってエレニカに何かしら要求することもできなくはないが、リスクが高すぎる。内容にもよるだろうが、エレニカ本人は要求をあっさり飲む可能性が高い。しかしそれを周囲が許すか、というと別の話になってくる。
エレニカのお気楽さをカバーしているのは周囲の優秀な部下達であり、彼らは結束力が強いことでも有名だ。
纏め役としてエレニカが表に立っていられるのも、彼らの力があるのが大きい。勿論、最初はエレニカの単純な戦闘能力の高さによるものだが、今に至ってはそれ以上のものをエレニカは所有している。
エレニカ以外がその役目についたとして、今のように平和な状況になるかと言われれば、確実にNOである。
まず自分たちの管理する世界を巻き込んで戦争になるだろう。
エレニカ含めた最古参のメンバーが現在の体制を作り上げる前までは、ずっと戦争が続いていたのだから。
勝てる戦争ならば開戦も視野に入れたいという考え方のセグルズだが、エレニカの一派を敵に回して勝てる見込みがないことを理解している。何せ周りもそうだがエレニカ本人が強すぎるのだ。最古の神は伊達ではない。
白亜を脅したところでエレニカに何か要求する事ができても、周りが白亜を切り捨てる決断を下す可能性が高い。白亜本人の価値は今のところ最底辺に近い。
なぜなら自分の管理する世界も持たず、下級神の中でも神力の扱いに劣る。神々が単純に殴り合いをしたら上位に食い込める戦闘力はあるが、それを知るものは少ない。
助けなければならないほど重要でもないし、伸び代があまりないだろうと判断されたのだ。エレニカのように『最初から神として存在する』神と白亜のように『何か成した事により神格化した』神ではポテンシャルに開きがある。前者より後者の方が弱いというのは常識とされている。
『成ったばかりの元人間の神』の能力が低いという先入観のおかげで、エレニカに迷惑をかける可能性がなくなったのだ。白亜がエレニカに何を教わっているのか、教わったことで神力の扱いが凄まじい速度で上達していっているか、それを知られていたらセグルズは白亜を『エレニカの弱み』だと認識していただろう。
今回手を借りることができるのは、ただ運が良かっただけである。
「それではこちらへ来なさい。観測機の部屋に案内する」
「あ、ありがとうございます」
さっさと歩き出したセグルズの背中を追う。
観測機とは、世界の間で何が起こっているかをリアルタイムで映し出せる道具のことだ。
エレニカも所有しているが、チカオラートは持っていない。
複数の世界を同時に観測する必要のある神くらいしか持っていないのだ。複数世界を管理する神となれば相当な上位神になる。だからこそ白亜は心当たりのある上位の神に頼るしかなかった。
観測機の見た目は長方形の黒い石板で、地図のように異世界の位置関係が表示される。観測機のある部屋は床が全面観測機になっているので、観測機というより観測室と言う方が正しいのかもしれない。
観測機に映し出される映像は、詳細を見たい世界に触れると拡大されるようになっていて、その世界での歴史を垣間見ることができる。
白亜は床を覗き込んだりしゃがんで拡大してみたりしつつ、シアンと会話を繰り返しながらテオドールが居た世界と、その時代を推測するために部屋中を歩き回った。
既にセグルズは大サービスをしてくれているのだ。これ以上手を借りるのは難しい。
白亜とシアンは何度も考えを巡らせ、最有力候補を見つけ出した。
「この世界……管理されているんでしょうか」
「いや、これは……ないだろうな」
管理者不在、荒れ果てた上リグラートからかなり離れた異世界だった。




