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『レインさん、おはようございます! 今日はお休みですか?』

 亀投稿に磨きがかかっている今日この頃です……


 こんなゆったり更新であるにも関わらず読みにきてくださってありがとうございます。

 レインの朝は早い。いや、正確にはほとんど眠る必要がないために昼夜など関係ないので朝という表現は正しくはないが。


 白亜は人間だった頃の記憶を主体として生活しているので『何となく』人間の生活リズムで動くが、レインの場合は最初から睡眠や食事が必要ない体であるために無駄なことは基本しない。ただ食事に関しては楽しいと知ったので食べるようになった。


 ハクアの街は周りをうっすらと霧が囲んでいる。


 これはレインの力で、高性能なレーダーを張り侵入者を発見、撃退することのできるものだ。


 白亜の配下達総出で見張っても森全体の人の出入りを管理するのは難しかったのだが、レインが加わったことによってかなり楽になった。


 霧を使い森全体の空気の流れを把握することで、どこで何が起こっているのかを簡単に把握できる上に、敵対勢力だとわかったら霧の水分を集め凍らせて雹にして攻撃することもできる。威力も十分あり、軽く鉄板を打ち抜けるので攻撃力も問題ない。


 万能すぎるレインの力は、この街の防衛の要になっている。


 街の中を管理するキキョウと外を管理するレイン。二人とも水を操る術に長けているので相性もいい。


 結果、この二人がオーバーワーク気味である。レインの場合は疲れるという概念すらないのだが、キキョウの場合は精霊とはいえ無尽蔵に動けるわけではない。たまにはお休みも必要である。


 そんなこんなでシアンに申しつけられ、今日はレインの休日である。


 いつもの癖で日も昇らない時間に外に出てしまったレインだが、特にやることもなければやりたいこともない。部屋を出てから「あ、今日お休みだ」と気付いたが今更部屋に戻るのも何だか面倒である。見かけの性格は全然違うレインと白亜だがベースが同じなので面倒くさがりが引き継がれているらしい。


 レインの休みの日はかなり街の警備が手薄になるので白亜配下の大半が街の守りに当たっている。レインからすれば「休みなんて無くせばこんな大ごとにしないで済むのに」と言いたいところだがシアンが許さなかった。


 白亜が何か発言するより早く、シアンが『休みなさい』と有無を言わせない感じで言ってきた。白亜より迫力があるかもしれない。


 やることも特に思いつかないので、とりあえず街を散策することにした。








 やっと日が昇り始めた時間なので人通りは殆どない。ちなみに色々とジュードやリン達に教えてもらったので街の大半は自分の目で見て把握できている。


 レインの存在に関しては街に住むものは白亜から知らされている。街とはいうものの、ここはそれほど広い土地でもない。ほとんど身内の集まりなので噂や連絡事項の伝わり方が異常な速度なのである。それと単純にファンクラブ会員が多いので白亜の情報はやたらと回りやすい。


 白亜がレインのことを発表してから一日もすれば街全体の人々がレインの顔と名前を知っている状況である。下手なことができない環境とも言える。


 レインが道を歩いていると、この時間で動き出す配下達や商業区の人々が笑顔で挨拶してきた。


 かなり慣れてきた方とはいえ、まだまだ人は怖い。レインは顔を少し赤くしながら足早に立ち去るしかできない。


 正直このレインの反応は失礼なので、この街の外の人なら怒るかもしれないがレインの人見知りはこの街の者なら普通に把握している。この環境もレインには良い場所なのかもしれない。


 レインは最近お気に入りになりつつある、とある場所へ向かう。


 大きめの倉庫くらいのサイズの建物に入ると、何かが近付いてくる足音が響いた。


 のっしのっしという擬音が似合いそうな歩き方をしながら現れたのは街のマスコットとなりつつあるドラゴン、オルヴァだった。


 近頃レインの一番の友達になりつつある。


『レインさん、おはようございます! 今日はお休みですか?』

「うん。お、おはよう」


 見た目からして人でないからなのか、オルヴァとはかなり会話ができる。エレニカもダイも、言ってしまえば白亜も人ではないのだが……ぱっと見で人であると認識してしまうと緊張してしまうのかもしれない。


 エレニカなどは「体がでかくて邪魔だから」という理由で人の姿で過ごしている。ダイ達召喚獣も割とそんな感じなので、白亜の周りは珍獣だらけなのに見ただけではわからないのだから不思議である。


 この街で、移動手段として使われる馬以外では珍しい二足歩行していない動物がオルヴァである。


 一応役目としては警備のアルバイトだが、レインやキキョウが優秀すぎて今のところ一度も戦ったことはない。


 どちらかといえば公園の遊具か、この街の名物的なマスコット扱いになってしまっている。そもそも警備のアルバイトごときでドラゴンなど過剰戦力にもほどがあるのだが、それを言ってしまうとこの街そのものが色々おかしいのでオルヴァはもう受け入れている。


 オルヴァも『白亜に頼めば人の姿になる道具がもらえる』ということを知っていれば、もしかしたらその道具を欲しがるかもしれない。


 だが残念ながら白亜は言われてもないことを察するという高度な交渉術を持ち合わせていないし、オルヴァ自身が「そんなことがそもそも出来るとは思っていないから言わない」のでずっとこのままなのかもしれない。


 レインも『白亜が動物を人に化けさせる道具、魔法を知っている』ことを知っているが数少ない気軽に話せる友人を減らしたくないので黙ってしまっていた。……とりあえず一番可哀想なのはオルヴァである。

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