白亜の超絶スパルタ訓練!
登場人物の名前が殆ど出てこないのは名前を考えていないわけではありません!(棒)
「俺、なんで車椅子押してるんだろうな」
「なりゆき‥‥‥」
車椅子に乗った白亜と先輩警察官が話す。
「警察の人‥‥‥気弾使おうなんてしてないよね?」
「俺はしてないが?」
「下手に使うと死ぬものだから」
ガンガン使ってたお前に言われたくない、と先輩警察官は思うが、白亜はそれに全く気づかない。
「ここで訓練するのは危ないからもしやるならもっと広くて頑丈なの探さないと」
「危ないのか?」
「下手したら壁が吹き飛ぶ」
「吹き飛ばした事あるんだな‥‥‥」
「‥‥‥」
白亜と警察官は戸の前に立つ。いや、白亜は座っているが。
「おーい、おまえら!整列!」
「警察って言うより軍隊だな‥‥‥」
見事に統制された警察を見て白亜はポツリと言う。
「これなら‥‥‥今のところ、大丈夫か」
その日から毎日、白亜によるとてつもないスパルタ訓練が始まった。もっとも怖いのは、スパルタであることを全く気付かず、脚が動くようになったら平然とその訓練のなかに入っている白亜だったことを白亜は全く知らない。
「格闘技で戦うのが基本‥‥‥合気道はまぁ考えればわかるけど使えないから気を付けて」
とんでもない強さを持つ白亜に対抗できる者は誰もおらず、スパルタ訓練は続く。
しかし、倒れる者は誰一人として居なかった。
何故ならば、限界が近いものを白亜が瞬時に見抜き、速攻で休ませていたからだ。これにより、倒れる者が続出し、訓練が一時中断する何て事はなく、何日も何日もスパルタ訓練は続いた。
「そろそろ‥‥‥気弾、教えようかな」
「やっとだな」
「気力の使い方が皆は大体わかってきてる。‥‥‥勿論、あんたも」
「え?」
「自覚ないと思う‥‥‥気力は精神力や体力の塊‥‥‥訓練で自然と身に付けさせた」
なんと白亜はただ体力作りのためにスパルタ訓練をしていたわけでは無かった。
「明日から、気力教える」
「そうか」
しかし、先輩警察官は知らなかった。
‥‥‥‥気弾を扱うのがどれだけ、大変なのかを。
「気弾は体力、集中力、精神力、想像力なんかを使う。こんな風に‥‥‥」
白亜が手を出すと、青白い光る気弾ができた。
「いまなら、多分流れが見えるはずだ。目を凝らしてみてみろ」
言われた通りに全員が白亜の気弾に目を凝らす。
「あ!糸みたいなのが見える」
「それが気弾の基になる供給糸だ。これが切れると気弾は消滅する」
プツン、と糸が切れると気弾がパシン、と小さな音を立てて消えた。
「でもこれ見るのにスッゴい目が疲れる‥‥‥」
「そのうち慣れる。今はこの糸をイメージして体の中から気力の一部を出してみろ」
ここ数日のスパルタ訓練により、気力の存在に気が付いていた者達が即座に糸を作り出すのに成功する。
「そんなかんじ‥‥‥もっと太く」
出来るものから即座に次の段階へ進ませる。これは、白亜が他の者を待つのを面倒くさがっているわけではなく、単にそんなに時間が無いからだ。
「太くしたやつから気力を放出させて、回転させる‥‥‥」
白亜のお手本は実はかなり分かりやすいように気力を出している。感覚派の人は覚えが早いが、思考派の人には少し分かりにくかったりする。
警察官が全員気弾を作り出せるようになったのは、1カ月後だった。
「やっと全員なんとかなった‥‥‥」
「お前としてはもっとやりたいんだろ?」
「うん‥‥‥計算もまだまだだし」
「計算?」
「計算だよ。ある一定の方程式を解いていけば気弾はできる」
「俺たち、計算なんてしてないぞ?」
「感覚で覚えるのが一番早い。その代わり、攻撃がワンパターンになるから、強敵との戦いには向かない」
覚えちゃったじゃねーか!とでも言いたげな視線を白亜に向ける先輩警察官。
「俺が対応すればいい‥‥‥明日からは、身体強化」
「まだやんの!?」
「武空術とか教える」
「なんだその中二心擽る戦い方‥‥‥」
「中二病なの?」
「うっせ!昔の話だよ!」
次の日。
「今日からは身体強化教える‥‥‥これが最後だから頑張って」
警察官達の中から安堵の息が漏れる。
「まずは、普通の身体強化。気力を体にまとわせるだけ」
この身体強化が曲者だった。身体強化は身体に気力を張り巡らせることにより、とんでもないパワーを得られる。
しかし、この身体強化。全身に気力を張り巡らせる必要があるので全く気が抜けないのだ。
「さきに、武空術を教えておく」
武空術はその名の通り、空中で戦う為の物だ。要は、空を飛ぶ。これができたのは資質の問題もあり、白亜を除きたった3人だけだった。
「やっと、全員身体強化も使えるようになったな」
「そろそろ卒業」
「ほんとか!」
先輩警察官の顔が喜色に染まる。
「卒業試験終わったらだけどな‥‥‥」
「試験?」
「明日、しっかり説明する‥‥‥‥今日はしっかりやすんで」
そう言って白亜は自分の部屋に戻っていった。
「しっかりやすんでって‥‥‥明日はどんだけ危険なことをするつもりだ」
次の日。
「今日は卒業試験しようと思う」
「それは、亜人戦闘機と戦うんですか?」
「よくわかったね‥‥‥そうだよ。それが、一次試験」
ザワザワっと警察官達がざわめく。
「二次試験は‥‥‥」
「俺との、手合わせだ」
「無理でしょ白亜さんとだなんて‥‥‥」
「だな‥‥‥俺ら、一生あそこで修行しなきゃなんなくなるかな」
「縁起でもないこと言わないでよ!」
「ごめん」
警察官達は、女と男の2人でバディを組み、それぞれの相手を1機ずつみつけ、亜人戦闘機と戦っていた。
「それにしても私たち、こんなに強くなってたのね」
「だな。まさかこれほど楽に倒せるとは思ってなかった」
この二人は既に1機ずつ倒しているので後は二次試験を残すのみである。
「私‥‥‥白亜さんに勝てるかな」
「俺の方が自信ないんだけど‥‥‥」
「うじうじ悩んでも仕方ない!覚悟を決めるわよ!」
「そうだな!白亜さんもいつも言ってるもんな!覚悟をバカにするなって!」
相変わらず、白亜の立ち位置はどんなに年上の警察官よりも上だった。
「「失礼します!」」
先程のバディが白亜の待つ体育館に入っていく。
「お帰りなさい‥‥‥大丈夫だった?」
「はい!勿論!」
「この通りです!」
相変わらず生気のない目をしている白亜だが、その目に冷たい光はない。
「じゃあ、ハンデね‥‥‥俺は、身体強化無し、気弾も無し。君たちの勝利条件は、俺に触れること」
「‥‥‥え?」
「そんなんでいいんですか?」
「うん‥‥‥問題ないよ」
その言葉を切っ掛けに生気のない目に光が宿り始める。
「俺は、君たちの力をみたいんだ。それじゃあ、早速始めよう」
「試験の、開始だ」
そういった白亜の目はいつもの生気のない目はどこにいった。とまでにきらきらと輝いており、目に生気が入ったことで、そこら辺のモデルも裸足で逃げ出すような美しさと凛々しさを醸し出している。
「かかってこい。先手はそちらで構わない」
二人は白亜の変わりように物凄い驚いていた。
「白亜さんって‥‥‥まぁ、いいわ!行くわよ!」
「了解!」
男性が気弾を手の上に出して、身体強化により加速された速度で白亜に突っ込む。
白亜は少し横にステップを踏むことで回避する。
「そこよ!」
足が着地するところに気弾が打ち出される。
白亜は武空術を一瞬だけ発動させ、斜め上に飛ぶ。
「く!」
男性がまた気弾を発射するがなんなく白亜は避ける。
「おら!」
男性が強化した腕で思いっきり白亜に迫る。白亜はその腕の軌道を指でそらした。
「な!?」
そらされた腕はそのまま下へ行き。地面に大きなクレーターをつくる。
「はあああぁぁ!」
女性が身体強化をした足で跳び蹴りを放ってくる。白亜は半身をそらして回避する。
「それはお見通しよ!」
左手に隠し持っていた気弾をぶつける。
が、白亜はそれさえも避ける。
と。
「タッチです!」
男性が白亜の足を掴んでいた。