「招待したのは僕たちだよ」
あけましておめでとうございます。
更新遅くなってすみません…
御披露目と言っても、大袈裟にやるものでもない。
ひと言喋るとか、そういうなんかちょっと面倒なことはしなくてもいい。なぜなら言語が全く違う神もいるからである。
実は、神にも共通語というものがあったりする。
他世界との交流も神の役目だ。それをするために専用の言語がちゃんとある。
実を言うと、白亜もしっかり覚えている。日本語以外の言語も全く問題なく話すことができる白亜にはさして難しいとも思えなかった。
とはいっても普通に違う言語なので本来はもっと苦労するはずなのだが、白亜には常識が通用しない。
白亜は例外としても、やはり誰だって言語まるっとひとつ理解するにはそれなりに時間がかかる。
そのためにまだ共通語が話せない神も多くいるのだ。
だからなのか、御披露目と言ってもやることはひとつ。
「本当にやるんですか、これ」
「君なら問題なくできるでしょ?」
「まぁ、できますけど……」
白亜は異常に広い部屋のど真ん中で普段抑えている神力を解放する。
金色の光が辺りを徐々に満たすその光景に、多くの目が白亜に集中した。
「……これで、いいんですよね?」
部屋全体に行き渡ったなと判断した白亜はすぐにそれを収めた。
実は御披露目とはこのことである。
神は神力という特殊な力をもっている。それには能力もあったりするのだが、純粋に力を表していることが多い。
強い神ほど神力も多い。
白亜からすれば魔力とそう大差ない力なので特にそれがあるからどうこう、とはなにも考えていない。
魔法の方が種類も多く使いやすいのに、くらいにしか考えていない。
そのために使いこなそうという努力もしない。
折角あるのに使わないのは宝の持ち腐れだなと判断するべきか、白亜らしいなと判断するべきかは悩むところではある。
だが、この神力は神々の間にとってはかなり重要なもので一種の身分証明である。
神力の質を見れば神格の高さが、量を見れば強さが、能力を見ればなにを司っているのかがわかる。
この行為で一気に白亜の存在はここに広まった。『あり得ないくらいの量の神力を持っている下級神』であるということが。
気づいた人は時空神であることも見抜いただろう。
「ああ、うん。いいんだけど、やりすぎかなぁ……」
「?」
この辺り一帯に解放するくらいで充分だったのに、部屋全体にまで神力で満たしてしまった。こんなことできるのはそれこそ古参のセグルズやその他のメンバーくらいだ。
白亜は当然のように目立っていた。
顔立ちの異様な整いようといい、神力といい、この天然記念物な性格といい、目立たない要素がひとつもない。
「忘れてたよ、君が色々ととんでもないってこと……」
大国主大神が軽くため息をつく。
別にお披露目に来たのだからこの行為に問題はない。全くない。
ないのだが、白亜は限度を知らない。
こうしてしまったことで一番面倒な思いをするのは自分だということを全く理解していない。
それもそうだろう。普段ならジュードやダイ達がセーブしているのだから。
白亜の行動にいちいち目を光らせている。
弟子や配下というより、完全に保護者である。
「ねぇ、君が今の神力出したんだよね? どこの世界の子?」
「さっきのすごかったな! 名前は?」
「神格はどれくらいなんですか?」
「能力ってどんなのか教えてくれないかな?」
「なにこの子可愛い」
「誰の紹介で来たの?」
わぁっと囲まれた。
白亜はどうしたらいいのかわからなくなり、キョロキョロと目を泳がせている。
「まぁ、あれだけの神力披露したら……」
「こうなっちゃうよね……」
ジャラルとチカオラートは早々に避難していた。あの中に行ったら潰される。
最古参並の力量を持った新人。人が興味を持たないはずがない。
「あ、あの、えと……」
なにをどこからどう説明したらいいのか。白亜は異常に頭の回転が速いので周りから一斉に質問されてもちゃんと答えられる。それこそ聖徳太子以上に。
多分三十人くらいから一度に話しかけられてもちゃんと全部質問に答えきれる。だが、ここでどう答えたらいいのかはわからないのだ。
誰の質問から答えた方がいいのか。そもそも「可愛い」などという質問ではない声も混じっていたし、どう反応すればいいのか。
人とあまり話さない分、経験値がない。
「この子はハクア・テル・リドアル・ノヴァっていってね。最近時空神に成ったばかりの元、人の子さ」
「招待したのは僕たちだよ」
そろそろ助けてやろうと大国主大神とチカオラート、ジャラルがすこし離れたところからそう声をかける。
数少ない複合型である時空神、しかも成り立てだと聞き白亜の姿をまじまじと観察する人や、人がすいてから話しかけようかと一旦去っていく人、面白そうだとすこし離れたところから見物している人と、それぞれ反応は様々だが一応落ち着いた。
「君、可愛いね。うちに来ない?」
「え?」
急に勧誘されて戸惑うと後ろからチカオラートが白亜に抱きついて、
「はーい引き抜きはなし。僕の子なんだからね」
とニヤニヤしながら言ってきた。
お前のじゃない、と反論したかったがこの状況では言い出しづらいので一旦黙っておく白亜。
だが残念ながらその様子は反抗期を迎えた子供とその父親そのものの光景である。
なんだか微笑ましく思えてきて小さく笑う大国主大神だった。




