(ちょっと、寂しいですね……)
今日ちょっと短めです。ツイッターの方で白亜の設定画を上げてみるので宜しかったら龍木 光で検索してみてください。絵の方の下手さは無視してください……
白亜が来たことに反応して、兵器達がわらわらと集まってきた。
『今日はどうされたんですか?』
「ヒカリに頼まれてた物をな。今日は何機稼動だ?」
『稼動中なのは58機ですね。非番が36、警備が21です』
一機足りないのは計算間違いではなく、ヒカリだからだ。ヒカリは彼ら特殊武器達からすれば全く別の位置にある。
ヒカリそのものには武力はない。機械でできた人でしかなく、他の物のように武器としての価値はない。
だが、全武器の情報統括を請け負っている。
つまりは指揮官の役割りなのだ。他にも、白亜に準ずる権利を持っているのであらゆることに対する制限はヒカリの判断で解除可能になる。
もしなにかしら暴走したりしてしまったら危険なので白亜がいくつか武器達には制限させている。
自己改造などはその制限にあたる。許可はしたが、無秩序に自己改造されてしまっては危険極まりないので段階的にロックを施してある。
その解除ができるのが白亜本人とヒカリだけなのだ。
ヒカリの人工知能は特に力を入れて造られている。一番最初に作ったからこそ、何度も更新を繰り返しながらずっと傍においてきた。
なにが危険でなにが安全なのか、それを自己判断できるであろうと理解していたからヒカリにはその権限を与えたのである。
人間不信の白亜が信頼する数少ない人物だ。……いや、人間ではないのだが。
白亜がそうしているように、他の武器達からもヒカリは特別扱いされているのだ。
『申し訳ございません、遅れてしまいました』
「いや、こっちが急に来たんだ。気にするな」
一時間程経ってからヒカリが現れた。かなり急いでいたのか、髪の毛がかなりぐちゃぐちゃである。
視線を逸らしつつそれを必死に手で直そうとする姿は人間と何ら代わりはない。
昔、それこそ白亜が白亜として生きていた頃はもう少し機械っぽかった。それでも初見では人間か機械かなんてわからない程度には完成していたのだが。
今のヒカリは一体どこが機械なのかと疑えてしまうほど自然だ。彼女が言うには自己改造を何度も重ねてやっとここまでたどり着いたとのことだが、白亜も驚くほどの進化ぶりである。
「これ、頼まれてたものだ。というか、本当にそんなもの要るのか?」
『はい、ありがとうございます』
白亜が鞄から取り出した小さな箱を受けとるヒカリ。それを見ていた柴犬型連絡機……連が訊ねてきた。
『それはなんなのでしょうか?』
「俺が作った人工知能の初期プログラムを図式化したやつだ。かなり昔のものだから役には立たないと思うが」
『初期プログラムということは、私達も?』
「ああ。全員これを使用してある。勿論ヒカリもな」
試作の時からずっとこれを元にして作っていたのでここにいる武器達は全員これから作られたといっても過言ではない。
今現在日本に広まっている物の方が圧倒的に優れているはずなのだが、何故かヒカリはこのデータが欲しいと言ってきたのだ。
50年前のデータだったのでどこにあるのかもわからず、結局白亜がもう一度最初から組み立てたのでそれなりに時間はかかったが武器達を作る度に確認していたものなのでまだ覚えていたのだ。
どれだけ大量の文字列でも何回も、何十回も書き込んでいればその内覚えるものである。
今の武器達のものも何度も更新しているのでもう大分原型はないのだが。
「最新のものじゃなくていいのか? 時代遅れにも程があるぞ、その理論構築。相当大回りしてるし」
『いえ、これが欲しかったんです』
「……そうか」
機能を優先すればそもそも白亜に頼みにこないだろう。
新しくものを作ることを禁じているからなにか作りたいなら白亜に許可を取りに来るだろうが、最新の器機のデータをどこかから取り寄せてそれをもとに作ればいい。
許可だけとればいい筈のものをわざわざ時代遅れのプログラムを求めるというのはなにか意図があるのだろう。
命じれば命令は基本絶対なのでなにをするつもりなのか教えてくれるだろうが、ヒカリが言わないのなら聞くつもりもない。
「それじゃあ、確かに渡した。……なにか作るならヤバそうなものでなければ大抵は許可するから好きにやれ」
『ありがとうございます』
データを渡すだけならわざわざヒカリを待たなくても連にでも預けておけば良かったのだが、白亜は無意識にヒカリを待った。待つ必要もない一時間を。
心の底から信用しているのだ。頼まれているものを他人に預けて渡すなんて考えが及ばないほどに。
……逆に言えば、すくなくとも連はそこまで白亜に信頼されていないということである。軽くショックを受けるが、当然と言えば当然なのかもしれない。
ヒカリは兎に角別格なのだ。武器達からしても、白亜からしても。
(ちょっと、寂しいですね……)
機械らしからぬ感情をもつ白亜の武器達。
その中にある上下関係は白亜の信頼度に直結している。
連は比較的後の方で作られたので機能は高いのだが白亜にはそこまで信頼されていない。だから武器内地位も低い方である。
仕方ないと言えば仕方ない。一緒にいた時間の長さで信頼は深まる。新入りであるほど白亜には信用されない。
だが、本人―――本機たちからすればそれは悲しいことなのだ。
自分を作ってくれた。自分という存在を唯一肯定してくれる人。そんな人が見向きもしてくれないのは、とても悲しいことなのだ。




