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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
8/24

八話目

飲み会を機に同じ研究室の人達とはだいぶ打ち解けることができた。


そもそも私は男みたいな性格なので、慣れてしまえば意外と仲良くなれた。


女の子って感じがしないから気を使わないでいいけど、合コンではモテないタイプかもね。

と、先輩たちは冗談混じりに言っていた。


うん、冗談だと思いたい。


別にモテたいとは思わないけど、女の子だとは一応思っていただきたいのですが…。


でも、まあ先輩たちにも可愛がってもらえるようになったんで良しとしよう。



当然だけど、私は別に恋人なんかを作る気は全くないので、女だと思われなくてもちゃんと人間関係が築ければ問題ないのだ。


…負け惜しみじゃないよ?


ちなみに春樹は?と聞かれると、それこそ論外といいますか。


彼こそまさに、私の事を女だと認識していない人間の代表だと思うし。


というか、その前にあの女装してる時点で女の子は大好きでも、恋人作る気なんてないだろう。


いや、訂正しよう。

さすがにあの格好じゃ、相手がひくだろう。


…私以外ね!





「利香はずいぶん履修詰め込んでるんだって?」


研究室で必死にガリガリと勉強していると大須賀さんから声をかけられた。


飲み会以来、すっかり気に入ってくれたようで利香とよんで可愛がってくれるようになった。


「あ、大須賀さん、こんにちわ。」


顔をあげてとりあえずご挨拶。


一応先輩なのでね。


「こんにちわっていうか、こんばんわだね。」


大須賀さんはちょっと苦笑い。


あれ、気づいたら外が暗い。

かなり没頭していたようだ。


「夜になってましたね。

どうりで頭がぼんやりするわけだ。」


私は、うーんと伸びをしながら言った。


「履修もそうだし、本当によく頑張るよね。」


大須賀さんは、私にコーヒーを手渡してくれて微笑んで横に座った。


コーヒー、染み渡るわー。


「ありがとうございます。

いやあ、このくらいやってもついていくのがやっとで…。

履修は最初に必要な分全部とっちゃって、あとは研究に打ち込もうとおもいまして。」


実は修士の卒業に必要な履修はそんなに多くない。


せいぜい20~30なのである。


「すんごい真面目だね…。」


ちょっと驚かれてしまった。


「いやいや、両立できるほど要領よくないんで、必死にやるのみなんですよ。」


本当に、ここの人たちは頭がいい人が多い。


なんというかもう、切れ方が違うというかなんというか…。


滅多に見ない、それこそ天才か?!っていう人がうようよいる。


本当に突き抜けちゃってて全然勉強しないでもすんなりできちゃう人もたまにいるけど、基本的にみんなきちっと努力している。


そんなもともとの天才さん達が努力してる中、私のような凡人がついていくのは文字どおり寝る間もおしい。


まあ、卒業するだけならここまでしなくてもいけるとは思うんだけどね。


「そこまでしなくても、文系はそこまできつくないよ?」


ざ、天才のお一人の大須賀さんは言ってくださる。


「卒業するだけならできるとは思うんですが、どうせならみんなに負けないくらいの成績は残したいですね。」


私はにやっと笑って言った。


せっかくこんなすごい人達と一緒に学べる機会があるんだから、さすがに追い越せはしないかもしれないけどいけるとこまではいってみたいよね!


「真面目な顔で言えばかっこいいセリフなのに、黒そうな笑顔で台無し。」


大須賀さんは困ったような顔で言った。


え、別に黒いことは考えてないんですけど。


むしろかっこつけたつもりだった!


「利香って…。なんだかいろいろ惜しいよね。女の子として。」


「…。」


惜しいとか…。

残念な子を見るような目で見ないで欲しい。


「いや、まあ人間としてはおもしろいよ!」


大須賀さんは、いそいでフォローしてくれた。


ちょっと切ない。


「いや、大丈夫ですよ、もっとすごいことしょっちゅう言われてますし。」


春樹にね!

しかもあいつはフォローなんて優しいこと滅多にしないしねー。


しかも、悪気がないんだからたちが悪い。


そういえばあいつもうすぐ帰ってくるのかなー?

あんなやつでも、一応ずっと好きな相手。

そろそろ会いたいかな。



なあんて思っていた私が悪かったのだろうか。


「利香!

ここに利香はいる?!」


そう叫びながら春樹が飛び込んできた。


しかもフル装備(女装)で。

まじですか…。

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