表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
7/24

七話目

春樹が北京に行ってしまってなんとなく寂しかった。


どうせ日本にいても滅多に会えないんだけどね。



そんな中、研究室のOB、OGもたくさん来る飲み会があるということで私にも声がかかった。


私は今まで男の人がいる飲み会には参加したことがなかったので、かなり不安だったのだけど、亜紀ちゃんに行っておいた方がいいよ、と説得された。


どうやら、OB、OGの方たちはそうそうたるメンバーで、そのパイプは将来絶対役に立つから!との事らしい。


おまけに同じ研究室のOB、OGさん達なので、いろいろアドバイスをもらえたり、実際に自分が英文で論文を発表するときなど、書き方を教えてくれたりもするらしい。


とにかく、私は外部から来た身なので、ちゃんと顔を売っておきなさい、とのことでした。


いやはや、そんなアドバイスくれる友人がいて本当にありがたいよ。


普通に断るとこだった。



そんなこんなで飲み会の当日。

私は端の方に座ってウーロン茶を飲んでいた。


実はこんな女ですが、高校からはたまたまお嬢様学校に入ってしまい、こういう居酒屋などにも来たことがなかった…。


公立中学出身の私には笑っちゃうんだけど、実際に高校時代は学校帰りにファーストフードとかなかった。


といっても高いお店とかではなかったけど、イタリアンのお店とかに行って、みんなでシェアして食べたりしていた。


そんなわけで、男の人やら、先輩やらがうようよいるこの居酒屋の空間がなんとも緊張してしまった。


「利香ちゃん、さっきからひたすらウーロン茶飲んでるのね」


亜紀ちゃんが隣に移動してきて言った。


「うん、なんか緊張しちゃってさ。こういうとこ慣れてなくて。

ご飯も喉を通らないよ。」


正直に話すと亜紀ちゃんはビックリしたような顔をした。


「そうなんだ?

利香ちゃんって飲み会とかでわー!って盛り上げるタイプかと思ってたよ。

いつも元気だしね。」


そうだよねー。

基本、女の子の前だと素でいられるのでそんな感じのイメージなんだろうけどね。


「え、若林さんってそういう感じなの?

すごく清楚で大人しそうに見えるのに。」


すると、私たちの会話が聞こえたのか、向かいに座っていた同じ1年の坂下さんが話しかけてきた。


あ、ちなみに若林というのは私の事です。


「清楚とか…誰の話でしょう?」


思わず聞いてしまった。

ちなみに私、ほんと男の人との会話に慣れてないので極力話さないし、話しても敬語とか…しかも用事くらいしか話さなかったり。


「え、誰と言われると…。」


坂下さんは困ったような顔をして

、亜紀ちゃんにに救いを求めるように視線をずらした。


「びっくりでしょ?

利香ちゃんってば見た目はとってもおしとやかそうなんだけど、実際はとっても明るいのよ。」


亜紀ちゃんはなんだかちょっと自慢っぽく言った。


明るいというか…まあおしとやかではないわな。


私たちの会話に気づけば回りの人も注目していた。


「え?明るいの?

いつも、ほとんど話さずもくもくと作業しているしさ。

必要最低限の会話しかしないからかなりおしとやかな子だと思ったよ。」


二年生の大須賀さんも会話に参加してきて言った。


うわー、そんな風に思われていたのかー。

恥ずかしくて穴がなくても自分で掘って入りたいくらいだわ。


「すいません、多分おしとやかとは無縁かもしれないですね。

高校から女の子ばっかりの世界だったのに、ここにきたら男の人が多いもんで、なんか緊張しちゃったんですよ。

とはいえ、小学生の頃は男の子達と野山をかけずりまわっていたんで、男の人に慣れてない女の子って訳でもないんですけどね。」


へへっと照れ笑いを浮かべて言うと、みんなも笑ってくれた。


「突然そこまでぶっちゃけちゃう?

清純なイメージの若林さんが、野山をかけずりまわっていたとか、かなりのギャップがあるね。」


大須賀さんが言う。


「自分で言うのもなんですが、清純とかないわー。

確かにモテなかったんで男の人と遊んだりとかもなかったですけどね。」


ふっと、ちょっと遠い目をして言う。

最近、春樹にモテない、モテないと言われてばっかりなんでね。


私のせりふのどこかが面白かったのか、周りの人たちが盛り上がっている。


「ね、利香ちゃんって見た目より面白いでしょ?

最初はもっと取っつきにくいのかと思ったんだけどね。」


亜紀ちゃんは坂下さんと私のネタで楽しそうに盛り上がっている。


二人は学部時代から一緒だからきっと仲良しさんなのかな。


ちょっと羨ましい。


でも、私もみんなと少し打ち解けられて嬉しいな。


「そうそう、利香ちゃんのお友達にね、すっごくかわいい子がいるの。」


ウーロン茶を飲みながら気を抜いていたら突然亜紀ちゃんがそんな爆弾を落としてきた。


かわいいお友達ってまさか…。


「え?佐々木さんや若林さんよりかわいいの?」


大須賀さんが食いついてきた。

かわいいとか、お世辞でもやったー!


…じゃなくて…その子ってまさか…。


「そうなんです。

本当に清楚でかわいらしい子で、とっても礼儀正しくて素敵な子なんですよねー?」


途中、私に同意を求めるように亜紀ちゃんは言ってきた。


なんですよねー?と言われましても…。


明らかにあいつじゃん。


名前、忘れてくれてるといいな…。


「えっと、確か斎藤 春香ちゃん。

大須賀さん、知ってますか?」


しっかり覚えてたー!!


当然だよね、天下の帝京大学生ですもんね。


「ああ、あの子かわいくて結構有名だよね。」


大須賀さんじゃなくて、同じ1年の林さんが答えた。


えええー。

有名なのかよ!


春樹よ、ほんとにそれでいいのか。

そんなんで有名人でほんとにいいのかー?!


っていうか私も、ほんとにあいつでいいのか?!


なんとなく無性に飲みたくなったた私は本日はじめてのお酒を頼んだ。


でも、やっぱり心配なので、アルコール控えめでお願いしておいた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ