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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
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六話目

「あ、利香、私しばらく北京行ってくるから。」


久し振りに顔を見たと思ったら、春樹は唐突にそう言った。


「北京? あんなに忙しそうなのに旅行?」


春樹は最近、ほとんど帰っておらず、たまに寝に帰ってくるくらいで顔も合わせていなかった。


「旅行なんて行く暇あるわけないじゃない。

学会発表よ。」


バカにしたような顔をして春樹は言った。


「え、学会って、まだ一年生なのに?」


「私は、学部時代から今の研究室にいるしね。

利香は文系だからきっと私とは全然違うんじゃないかしら。」


確かに、理系の方が多いとは聞いていたけど、こんな時期からとは恐れ入る。


私はとても発表するところまで行ってないし。


「海外って全部英語だよねー。

日本語でもきついのにー。」


「まあ、英語は必須よね。

でも、受かって来てるんだから利香だってそれなりにできるんでしょ?」


さも当然のように言ってくださる。


「うーん、TOEIC800くらいあれば合格できちゃうんだよね。」


そうなのだ。

最高峰の大学院なのに、意外と試験は難しくなかったりした。


「800って…。それじゃ、論文苦労するわよ?

質疑応答も全部英語なんだから。」


珍しく心配そうに春樹は言う。

この人、勉強に関しては本当に真面目なんだよね。

だから、こんなに頭もいいんだろうけど。


「さすがに私はもう少し点数とれてるよ。

でも、質疑応答でいろいろ突っ込まれたりしたらちゃんと細かく答えられるか不安だなー。

ま、私は海外はないかもしれないけど。」


一応文系なので、理系さんよりは英語はできる…と思いたい。


でも、春樹レベルがごろごろいる世界では多分下の方なんだろうな。


それにしても、ちょっと不安なのが、今から海外に出ていくってことは、春樹は国内での普通の就職はしないんだろうか…。


海外で発表して名前を売ってどこか遠い国の研究室に行っちゃうつもりなのかなあ…。


さすがにそうなると追いかけづらいなあ…ってまだ追いかけるつもりなのか、私。


でも、考えてみてください。


相当長い間好きだった相手と一緒に暮らしているわけですよ。


他に好きな人なんてできるはずないじゃないですか。


一緒に住めば欠点とか見えて冷める事もある?


いやいや、こいつの欠点はとっくにわかっているっちゅーの!


っていうか、オネエだし。


「面白い顔して、何考えこんでるの?

まあ、私がいないからって男とか連れ込まないでよ?」


面白い顔とか失礼だな。

一応、22歳の女子だぞ。


ってか男なんて連れ込むわけないじゃんね。

まだ、学校でも男友達なんてできてないしね。


「ま、連れ込む相手もいないだろうけどね。」


そう思ってるなら最初から言うなよ、こんちくしょう。


「はいはい、どうせいないですよーだ。

まあ、気を付けていってきてね。


春樹の事だ。

頑張ってね、というまでもなくしっかりやってるだろうから、旅の安心だけを願っておこう。


「ありがと。

私がいない間、一応気を付けるのよ?」


春樹はちょっと真面目な顔で言った。


なんだかんだで小学生のお兄ちゃんが妹を面倒くさがりながらも気にしてくれる、みたいな感じで私を一応心配してくれる。


多分、見捨てたりはできないなんかがあるんだろうなあと思う。


まあ、だからこそ女っておもってもらえてないってのもあるんだろうけどね!


学校ではこいつがオネエで性悪でかわいい女の子が大好きってこと、きっと私しか知らない事だしね。


あれ、でも別に知りたくもないとこだな…。

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