十七話目
「うーん…。」
まぶしい…。
目を覚ましたら、私はリビングで寝ていた。
どうりでまぶしいわけだ。
ソファで寝かせておいた春樹はすでにいなくて、私が占拠していた…。
だ、大丈夫かな、蹴り落としたりしてないよね…。
「あ、利香おはよう。」
キッチンの方から春樹が顔を出して声をかけてきた。
「おはよー。」
まだ寝起きのぼーっとした状態で返事をすると、コーヒーを持ってきてくれた。
「あ、ありがとー。」
「朝ごはんもできてるわよ。」
笑顔でニッコリ言う春樹。
うわー、だからなんか違うってばー。
なんでこいつこんなに女子力高いんだー。
独り暮らしの男がイチコロなパターンですよね。
本当は私がやらなきゃいけないやつじゃない?
まあ、やったとこで春樹はイチコロできないだろうけどさ…。
「いただきまーす。」
二人で一緒に朝食を食べる。
学生の頃は本当に忙しくて一緒にご飯なんてなかなか食べれなかったけど、なんか社会人っていいなあ。
大人!って感じだよね。
まあ、社会人一年生なのでまだまだですけどね。
しかし、春樹は相変わらず料理もうまいなあ。
女子力の高さに全くブレがないんですけど…。
「今日はどうする予定なの?」
なんとなく聞いてみる。
そう言えば、春樹って休みの日って何してるんだろ?
「そうねえ…。
たまにはショッピングでも行こうかしらね。」
ショッピングですか!
是非お供させてください!!
るんるん気分で春樹と一緒に出かけた私。
昨日も一緒に飲んで、同じ家に住んでて、翌日も一緒にショッピングとか、もう付き合ってるとか言ってもいいですよね??
「久しぶりににこっちの格好でのびのびだわ。」
春樹は笑顔で言う。
とっても可愛らしい。
明らかに私よりも!
今日は久しぶりに完全装備(女装)ですよ!
そう…。
オネエじゃなければ、明らかに恋人っぽかったと思いますよ?
でも、春樹がオネエなのを考えると、たんに仲良しの女友達同士ですよねー。
飲みに行ったり、お泊まりしたり、ショッピングしたり…。
女子会ですよねー…。
そして、二人で楽しく女の子のお洋服をきゃっきゃ見たり、スイーツを食べたりして過ごした。
いや、楽しいんですよ?マジで。
でも、なんだか修正不可能な友情ルートになっているような気がするんですけどね。
気のせいかなあ。
はあー。
「もうオネエでもいいから、彼女にしてくれないかなー。」
あれ、油断してたら思ったことが口に出ていた…。
まあ、聞かれてないだろうと思ったけど、春樹は驚いた顔で私を見ている。
アウト!