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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
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十六話目

「うわー!おしゃれー!

すごーい。」


私はまわりを見回して言った。


「恥ずかしいからそんなに騒がないの。」


春樹に苦笑され注意されてしまった。


今日は私たちは会社帰りにまた会ってダイニングバーに来ている。


ダイニングバーですよ!!

ラーメン屋じゃないですよー。


「私、こういうとこはじめてなんだもん。」


仕方がないので私は席に座って言い返した。


ちょっと個室みたいになってて外からは見えないようになっている。


今まで、研究室のみんなと居酒屋で飲み会くらいしかいっていなくて、こういうオシャレなお店っていうのは初めてだった。


「そうねえ、どっちかというとデート用のお店だものね。」


デート!!

…。いや、例えですよね、わかってますよ。


「利香、デートなんてしたことなさそうだもんねぇ。」


ちょっと気の毒そうに言われてしまった!


失礼な、デートくらい……。

………。


うわーしたことなかったあ!!


「地味に落ち込んだ…。」


テーブルに突っ伏してつぶやく。


春樹は楽しそうに笑っている。

もう、ひどいなあ。



今日も春樹はスーツ姿なんだけど、話し方を気にするのが嫌だからって個室のお店に連れてきてくれた。


前回ラーメン屋さんだったのは、私と話しているとうっかり女言葉が出そうなので、さっと食べて帰れるお店にしたみたい。


納得。


「まあまあ、何か注文しましょ。

おいしそうよ?」


そう言って春樹はメニューを渡してくれる。


「あ、ありがとー。」


うわ、メニューもなんかすごくオシャレ。


ブイヤベースとかあるし!

イタリアンですか?!

いやでもお刺身とかあるしー。


チーズフォンデュもおいしそー。


「おもしろいぐらい立ち直りが早いわね。」


春樹はクスクス笑って言った。


はっ、さっきまで落ち込んでたんだった。


「メニューがすごく美味しそうだったから…。」


ちょっと恥ずかしくなって私はモゴモゴと言った。


「じゃ、とりあえず頼みましょうか?

お酒はどうする?

ウーロン茶にしておく?」


どんだけ私はお子ちゃまなんですか!


「お酒くらい飲めるよー。

いくつだと思ってるの。」


ちょっとむくれて言う。


「そっか。

子供の頃から知ってるとついね。

利香と飲むのも初めてだしね。」


「そう言えば家でもお酒は飲んだ事なかったよね。

なんでだろ?」


「学生のうちはなんかあっても責任とれないしね。」


春樹は言った。


そんな事わざわざ考えてんのか!

どんだけ真面目なんだ。

私なんて特に意識してなかったよな。

いつも忙しかったし。


そうこう言っているうちに飲み物が運ばれてきた。


「いがーい。」


お互いの飲み物を見てつい言ってしまった。


「ほんとよね。」


利香も笑っている。


だって私は、ビールって感じでしょ?

春樹はかわいらしくカクテルって感じなのに、まさかの反対だった。


「春樹はビールなんだねー。」


「利香はカクテルなのね。」


そう言って二人で笑う。


お酒は実は甘いのしか飲めないんだよねー。


なんとなく乾杯して二人で飲む。


小学生からの友達と大人になってお酒を飲むってなんか不思議だよね。


「あー、甘くておいしい。」


なんでだろ、楽しくて仕方がない。

春樹と一緒にこんな素敵なお店にいれるからかな。


運ばれてくる料理もみんなオシャレで美味しくて、私たちはずっと笑いながら時間を過ごした。




「なんか違うでしょー。」


私は、ぜーぜーして言った。


初めての二人でのお酒。

私が飲みすぎちゃって、仕方ないわねー。と春樹に介抱されて、ちょっとドキドキ展開。


なんてのは期待してなかったけどさあ。


まさかの春樹がつぶれるという!


私は、懸命に春樹を部屋まで運んだ。


ここまで徒歩10分くらいのはずなのに遠かった…。


いくら男にしては小柄な春樹でも、私より大きい大人を運ぶのは大変だった。


私は玄関でしばらく座り込んだ。


暑い…。


とりあえず、春樹はここに置いておいて水でも飲みに行こう。


あれ、動けない…。

と思ったら、春樹が私の服をつかんだまま寝ていた。


お前は女子か!!


これ、女の子が男にやったらめっちゃかわいいんだろうけど、私は今、春樹の女子力の高さに敗北感でいっぱいである。


しょうがない。

しばらく休んでからリビングのソファまで運ぶか…。


はあ、疲れた…。

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