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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
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十五話目

ラーメン屋からの帰り道、春樹はしきりに私の会社の人に見られないか心配していた。


マンションに一緒に入って行くのを見られたら、悪い噂が立つんじゃないかとか。


お前は私のおかーさんか!


ってか、そんなに心配なら誘うなって話ですよねー。


いやいや、やっぱり誘ってください!


ちなみに、別々に帰ろうかとか言われて押し問答になりました。


断固拒否したけどね!






一緒に家に帰ってから、途中で買ってきたケーキを食べながらコーヒーを飲むことにした。


オネエな春樹はケーキが大好きなので、二人でわいわいしながら買えて楽しい。


ほんとなら、きゃっきゃ言いたいとこだっただろうになー。


さすがにスーツ姿はやばすぎる(笑)



「なんだか、最近忙しかったから、二人でゆっくりするのは久しぶりだねー。」


おいしいケーキを頬張りながら春樹に話しかける。

やっぱり都会はおいしいお店があるなあ。


幸せだなあ。

春樹もいるし!


「…。本当に美味しそうに食べるわねぇ。」


春樹は苦笑して言った。


だって美味しいんですから!


「春樹のも、美味しそうだねー。」


どっちにしようか悩んだやつだったんだよねえ。


一口くれないかなあ。

くれないだろうなあ。


「なに考えているか大体わかるけど、あげないわよ?」


ばれてた…。

ちぇ。


しょうがないので自分のケーキにまた戻るか。


「もう、一口だけよ。」


笑いながら春樹は私の口にケーキを放り込んでくれた。


え、これってまさかのあーんってやつですか?!


自分のケーキに集中してて、気づかないうちに口に入っていて飲み込んじゃったよ!


「もうひとくちー!」


なんて頼んでみたものの、


「一口だけっていったでしょ。」


と、あっさり断られてしまった。

残念。


なんだか、めっちゃ仲良さそうに見えるよね。


というか、これだけ私が好意全面に出してるんだから普通私の気持ちに気づくものでしょ?


でもね、春樹はさ、オネエの自分に私が異性として好きになるなんて考えもつかないみたい。


単純に、同性の友達のように好きなんだと思っているんだと思う。


春樹も多分私のこと大事に思ってくれてるんだなって思う。


二年一緒に過ごすうちにね、絆ができていったから。


でも残念ながら彼は本当に身内とか、同性のようにしか思ってくれてないんだよね…。


今も幸せだけど、時々とっても寂しくなるよ。


いつか、春樹に私の気持ちを伝える事ができるのかなあ…。


でも、そうしたら私たちはどうなるんだろう。


親密で信頼しあっていて、一緒に住んでいる。


お互い踏み込みすぎずにいる距離は心地よい。


だけど、たまにもっと近づきたくなる。


でも、そうしたら壊れちゃうのかな。


「そんな悲しそうな顔しないの。」


そう言って春樹はもう一口ケーキを口にいれてくれた。


ケーキが欲しくて落ち込んでると思われたらしい。


春樹の中ではどんだけお子ちゃまで食いしん坊なんだ!


こう見えて、もうすぐ25歳になる立派なレディなんだぞ!


いや、まあそんなに胸を張るほど立派なレディじゃあないっすけどね…。


「おいし…。」


私は春樹のケーキを今度はゆっくりと味わった。


そんな私を春樹は優しい目で見て微笑んでいる。


春樹、子供の頃はもっと意地悪でいじめられたり泣かされたりしていたのに、いつの間にか優しくなったなあ。


少しくらいは、期待してもいいの?

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