表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
14/24

十四話目

三月の末になり、私たちは新しい家に引っ越した。


そこで、事件は起こった。


「ぎゃー。」


私は春樹を指差して叫んだ。


「…人の顔見るなりぎゃー。とか相変わらず失礼ね…。」


春樹は憮然として言った。


「だってだって…」


私はうまく話せなかった。


だって、春樹ったら男の格好で部屋から出てきたんだもん!


中学卒業して以来だから10年ぶりくらいに男の姿見たんだよ!


「あのねえ…。

普通、昔からの知り合いなら女の格好の時にぎゃー。っていうと思うんだけど…。

もともとはずっと男の格好だったでしょ?」


春樹はおでこを押さえて言った。

ちょっとあきれてるっぽい。


だってだって、めっちゃどきどきしちゃうよ!


今まで一緒に暮らして平気だったのは、春樹が女の子の格好してたからだったのか!


どーしよー、顔が見れないよ。



「春樹、大人っぽくなってる。」


私はぽろっとつぶやいた。


15歳の記憶の春樹が突然24歳になって目の前にいる。


ずっと一緒にいたのになんて不思議なんだろう。


15歳の頃はまだまだ子供っぽかったのに、今や完全に大人になっていた。


「そりゃそーでしょ。」


少し笑って春樹は言った。


そりゃそーなんだけどさ。


今まで姉妹みたいにして一緒に暮らしていたのでどうしたらいいやら…。


「やっぱり男の格好だと困る?」


私がかなり動揺してたのがわかったのだろう。

春樹はちょっと心配そうに聞いてきた。


「ううん!困るってことはないよ。」


私はあわてて言った。


「いや…。正直結構動揺した。

でも、久しぶりに春樹に会えたみたいで嬉しい。」


隠してもバレると思うので私は正直に言った。


「ありがとう。」


春樹はそう言うと微笑んだ。


「でも、これからはあんまりそう言うこと言ったらダメよ?

一応男に戻る予定なんだから。」


男に戻るってどういう意味だ?

今までも男だったとは思うんだけど…。


っていうか、話し方はオネエのまんまだし。


「この子、大丈夫かしら…。」


そんな私にため息をついて春樹は言った。


大丈夫とか失礼だな。


「社会人になったら、あっという間に遊びなれた男にひっかかりそうなんだけど…。

ここまで素直で純真なのも困りものね。」


困りものとかどういう意味だろ。


春樹がいるのにひっかかるわけないよね。


そもそもひっかける人がいなそうですが。


「性格がこんなんでも、見た目がキレイならいくらでも寄ってくるんだけどね…。わかってないんでしょうね…。」


春樹がなんかつぶやいていたけど、私にはよく聞き取れなかった。


性格がこんなんでも、とか聞こえた気がするけど、気のせいだよね!




すぐに四月になり、お互い入社することになった。



春樹はなんと、企業の研究室に行ったようだ。

なんだかすごそうだなあ。



ちなみに、私は普通の会社員です。

地道に頑張ります!



ところで、会社帰りに飲みに行ったりとか、お買い物したりとか夢だったんだけど、会社まで徒歩10分…。



なんか、うろうろしてたら会社の人に会いそうだし、そそくさと帰ってしまう。


新入社員の分際で高級マンション住んでるのもバレたくないし。


明らかに私の給料では払えないしね…。




「利香、今帰り?」


家にもうたどり着くというところで後ろから呼び止められた。


「あ、春樹。」


うおー。

スーツ着てるよこんちくしょう。


普段出社する時間が違うんであんまり見ることないんだよね。


ぶっちゃけ春樹は意外とイケメン!という感じではない。


女の子で通っちゃうくらいの身長なので男にしては小さいし(私よりは大きいけど)、かわいい系の顔立ちだ。


それでも私はときめいちゃうんだよねー!

乙女か!!

ま、一応乙女ですけどね。


「珍しく早いね。」


研究室に行った春樹は毎日忙しいそうで、0時近くに帰って来るみたい。

ま、私は寝てるけどね。


寝ないで待ってろって?

バカ言わないでくれ。


春樹はそんなことしたら怒るわ。

全力で頑張る人が好きなので、ちゃんと寝て明日に備えろと言うと思います。


「うん、そうだね。

せっかくだからご飯でも食べていく?」


誘われてしまった!


しかも、男の格好の春樹に!!


マジで?!


まさかの初デートぉ!!


「いくいく!」


気が変わらないうちにさっさと行きましょう!


「お昼によく行く店でもいこっか。」


春樹は一応男の格好なのでオネエ言葉は慎んでるよう。


といっても、男でも女でも通る言い方なくらいだけどね。


「おっけー。」


春樹のお昼食べているお店かあ。

どんなお店かなあ。


女子力高い春樹の事、オシャレなイタリアンとかかなー。



私はるんるんして春樹についていった。


そして、案内されたのはラーメン屋さんだったよ!


食べたらすぐ出なきゃいけないじゃん。


せめて居酒屋でもいい!

ご飯食べてゆっくりお話したかったよー。



まあ、春樹が私をデートに誘うわけないかあ…。


それにしてもラーメン屋…。


もう一度言うけど、一応乙女なんですよ!

ちょっと初デートに夢見てましたよー。


あ、デートじゃないのか…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ