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幼馴染みはオネエになりました   作者: 桜井 沙羅
10/24

十話目

そんなこんなで忙しい日々を送り、気付けば秋になっていた。



相変わらず春樹は家でも女装しており、私は長いこと彼の男の姿を見ていなかった。


そんな理由もあるのか、私が男っぽいせいか、春樹が女の子っぽいせいなのか、お互いを異性とあんまり意識する事が少なかった。


そうすると、私たちはびっくりするくらい気があってうまくいっていた。


子供時代よりも仲がいいような気がする。



でも、これでいいのか?!

まるで、女の子同士の友達のような空気になってきており、どう転んでも恋愛的なところに発展はしそうもない。



まあ、春樹と付き合いたいだとかは今のところは思ってないしね。


そもそもあはいつがなんであんな格好をするようになったのかいまだに知らないしね。


きっとなんか理由があるんだろうね。

…多分。


たんにかわいいからとかだったらどうしよう。






…なあんて現実逃避しておりました。

なんと私も海外での学会発表に参加することになり現在大詰めでございます。


論文はとりあえずまとまったものの、質疑応答が怖い。


先輩たちにどんなことを聞かれるのかなどアドバイスをもらって今のうちに答えも英語で暗記中。


もし、わからない質問が来ちゃったら


「それはこれからの課題です。」


といって乗り切る事に。


それにしても、日常会話くらいなら問題ないけど、専門的な話し方とかはちょっと理解できるか不安で恐ろしい…。



本当は泊まり込みして勉強したいくらいなんだけど、春樹が怖いので自重しています。


でも、帰りが遅いので毎日大須賀さんが学校から駅まで送ってくださる…。


春樹に送れといわれたらしい。


人に言うなら自分がやってくれよと思うけど、そうはいかないのが春樹さん。


これがゲームなら、私今頃大須賀さんフラグたってるよ!



ちなみに最寄り駅からは1人なんだけど、都内の端っこのマンションなので駅まで徒歩1分なので安心なのだ。





「 大須賀さんは、去年の学会発表でBest Paper Awardを取ったそうですね。

一年生なのにすごいですね。」


おっと、また現実逃避していた。


頭の上から楽しそうな声が聞こえてきている。


「いやいや、春香さんこそ学部理系なんだって?

すさまじい才女なんだね。」


私の頭の上を今度は大須賀さんの声が通りすぎていく。



そう…。何故か三人で一緒に帰っている。


春樹も帰るからとわざわざ研究室にまで来てくれたのだ。


そこまではいいさ。


でもさ、だったら二人で帰れば良くない?

家おんなじなんだし。


なのに、何故か大須賀さんも誘って、さっきから二人の世界だよ!


まるで、カップルに挟まれたお邪魔のような気分だよ!

ぺっ。


「いえ、子供の頃から数学が趣味みたいなものだったので。

好きでやっていただけなんですよ。」


春樹がにこやかに答える。


うそつけ、めっちゃ負けず嫌いでガリガリやってたくせに。


何かっこつけてんだ、こいつめ。


あれ…。

ところで春樹って、女の子が好きだと思ってたけどさ…。


こんな格好してるだけあってもしかして男の人が好きなのでは…。


私からしたら、子供時代の男の子だった春樹を見てるから、男だと思って見てるけど、他の誰から見ても完璧に女の子だよね…。


むしろ、どう考えても男の人が好きだと思った方が普通なのでは…。


なんで今まで考えてつかなかったんだろーー!!


え、まさか春樹、大須賀さん狙ってるの??


私の友達狙って欲しくないなーなんて心配してたけど、まさか男の先輩にまでそんな心配しなきゃいけないなんて…。


なんか無性にイライラしてきた!!


「さっきから黙り混んでどうしたんだ?」


そんな私に気づいたのか大須賀さんが私を覗きこむようにして言った。


「別になんでもないですー。」


なんでもない風を装ったけど、かなり無愛想な言い方になってしまった。


駅に着いたので、私はさっさと自分の乗るホームに向かう。


二人で勝手にいちゃついてればいいんだ、こんちくしょう。


っていうか、男相手になんでヤキモチ妬かなきゃいけないんだってば!


あー、切ない。


「利香ったら待ってよ。」


大須賀さんと別れたらしく春樹が追いかけてきた。


「もっと大須賀さんと話して来て良かったんだよ?」


イライラして言うと、春樹はぷっと吹き出した。


こ、こいつ笑ったなー!


「利香ったらヤキモチ?」


春樹は笑いながら言った。


どきぃ。


え、どーしよ、ばれた?!


「ヤキモチなんてやいてないもん!」


いかにも妬いてます的な言い方になってしまった。


「あなた、大須賀さんのこと、私に取られると思ってるの?」


えええー?!

そ、そっち?


この女…いや、男…。


思わずぽかーんとして春樹を見てしまった。


え、何?

私が大須賀さんのこと狙ってて、春樹(春香)にとられると思って怒ってると思ってるの?


あほかー!


春樹はけらけら笑ってるし。


「大丈夫よ、利香の狙ってる相手をとったりなんかしないわよ。」


春樹は安心させるように言ったけど、全然安心できないっすー。


狙ってなければどうなるんですか?!


まさか、今後は恋敵は男になるんでしょうか??


お、女の子が好きなんだよね?


私が好きだと言ってくれなくてもいい。


せ、せめて女性が恋愛対象でいておいて。


男が恋愛対象だったら、さすがに私も家出して、どっか山にこもって諦める努力をせねば…。


「は、春樹って男の人が恋愛対象なわけ…?」


私が半泣きで聞くと春樹は大爆笑した。

人が真剣に聞いてるのにー!


「それは…。」


春樹はもったいつけて口を閉じる。


「いいから教えてよー。」


「ひ、み、つ。」


そう言うと春樹は、またまたとっても可愛らしい顔をして笑った。


くっ…。

この悪女めっ。

男だけどさっ。

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