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Wing Fighter Ν  作者: 屋久堂義尊
episode22 共闘
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序幕

 倒れたΝにCAANSは容赦無い攻撃を加えた。まずはその右腕に鋭い牙が突き立てられた。Νの噛まれた傷口からエメラルドグリーンの光が漏れた。Νは抵抗出来ないかのようにされるがままだった。

「副隊長!」

 戸ヶ崎が怒りを交えた声を上げた。このままではΝは敗れてしまう。するとどうなるのだろうか? 勝沼の命が失われるという事だろうか? だとしたら、Νを援護しないといけないと戸ヶ崎は思った。勝沼さんと約束したんだ。人として彼を助けると。しかしガンナーである五藤が動かなければ意味が無い。

 だったら――。

 戸ヶ崎は武器管制を自分に移す事にした。五藤も眼を瞑ってくれるだろうと信じて。

「戸ヶ崎、何故お前が武器管制をする?」

 早速お叱りの言葉が宮本から出た。

「まさか戸ヶ崎君、Νを援護するつもりじゃないの?」

「止して置け、どうせ効果は無いさ」

 木元と藤木の声が更に戸ヶ崎を落胆させた。やってみる前から駄目だと決めつけるのは怠慢と一緒だ。戸ヶ崎は、編隊から抜け出すとそのまま一気に降下した。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

 叫ぶ戸ヶ崎はジャベリン、振動ミサイル、メーザーバルカンをCANASにぶつけながら錐揉み飛行をした。戸ヶ崎も漸くこれ程、機体を制御出来るようになったのだ。ツイストを描くように次々とミサイルが、メーザーが襲い掛かる。だがどれもそのCANASに打撃を与えたようには見えなかった。戸ヶ崎は機体を急上昇させて、再度同じ角度から攻撃を仕掛けようとした。

 だが次の瞬間、武器管制を奪われた。五藤が再度ガンナーとして登録された。

「五藤隊員!?」

 戸ヶ崎は半ば苛つき、半ば絶望でその五藤の表情を見ようとした。だが見えないのが事実だ。

「五藤隊員、何故邪魔をするのです!?」

「戸ヶ崎隊員、私達は一抹の感情で動いていてはいけない存在よ。忘れたの? Νが味方だとしてもそれを無闇矢鱈と掩護は出来ない」

「じゃあ、このまま勝沼さんが死んでも構わないと仰るのですか!?」

「そうは言わないわ。ただもう少し辛抱が必要だとは思うけれど」

「辛抱ですって!? 現に彼はあんなに傷付いているのですよ!?」

「そんな事分かっているわ!」

 五藤が怒鳴ったので戸ヶ崎は怯んでしまった。戸ヶ崎にしたら、五藤の発言は許せる物では無いと言えたが、だが五藤は正しいとも分かっていた。彼女は保険を掛けているのだ。あまりΝに――勝沼竜に近付くと情報が漏れる可能性が高い。それを警戒していたのだろう。

 戸ヶ崎は額に汗を浮かべていた。

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