序幕
11月に入った。
δポイントは紅葉が美しい季節になった。
MABIRES-IIを倒した後、金澤も最前線で戦闘に入る事となった。戸ヶ崎もそれを認めざるを得ない状態だった。木元ももう金澤を馬鹿にしたりする事は無くなった。プレデターは、それから暫く勢いを弱めていた。ただ、それでも検出はしていた。
だが金澤の預言の制度が増したからか、メサイアは苦戦する事無く、戦いに臨めていた。
しかし戸ヶ崎は、巨人が現れない事を不思議に思った。ΞもΝも現われない。勝沼さんと長峰に何か有ったのだろうか?
その事を気に留めているのは戸ヶ崎だけでは無かった。五藤もまた、彼等の事を考えていた。五藤が望んでいるのは、Ξが滅び、Νが生き残っている状態だった。勝沼の事をいつの間にか、五藤も信頼していた。
そして、本郷もそうだった。本郷は、勝沼や長峰の情報を然程持っていない。実際に彼等に会った訳でも無い。だが、特にその情報を持っている戸ヶ崎の主張と、実際のΝの態度を見る限り、戸ヶ崎の言う事が間違っているとも思えなくなった。ただ勿論、本郷はそれを口に出す事はしなかった。
そんなあくる日も、金澤の預言が出た。
「千葉県八街市にプレデター出現します」
その報告を受けて、本郷はメサイア戦闘部隊に出撃命令を出した。
「木元隊員、金澤隊員はクロウ1。宮本副隊長、藤木隊員はクロウ2。五藤隊員、戸ヶ崎隊員はクロウ3にて出撃。目標を殲滅せよ」
「待って下さい」
本郷が出撃命令を出した時、金澤が立ち止まった。
「どうした?」
宮本が迫って聞く。
「巨人が見えます。今度の戦いでは巨人が出ます!」
金澤がそう叫んだ時、ブリーフィングルームの扉が開いて、片桐が現れた。
「巨人が現れるそうですね?」
「司令、それが何か?」
本郷が返す。
「戸ヶ崎隊員の尋問の内容を踏まえて、我々は巨人の捕獲作戦を採りたいと思っています」
「捕獲ですか? 一体どうやって」
宮本が素直な疑問を述べる。
「ΝやΞが人間体の時に捉えるのです」
そう言った片桐はほくそ笑むのだった。




