序幕
MABIRES-IIの警戒はメサイアでも続けられた。戸ヶ崎の経験と、前回の戦いから、MABIRES-IIは、脚部にダメージを受けると予測された。
「もしも、あのMABIRES-IIがまた現れれば、確実に倒す必要が有るわ」
本郷は重々しく語った。
メサイアは以前の作戦通りに、基本的にクロウ3を飛ばして哨戒を続け、金澤の預言を先読みする事にした。その金澤は、今日はメディテーションルームから出ていた。
「私も出撃しましょうか?」
金澤が申し訳無さげに本郷に言うのを木元が笑った。
「金澤さんが失神しなければね」
「それもそうです……、すみません」
金澤は怯えるように頭を下げるのだった。本郷はそれを見ると、少し困った表情を見せた。
「金澤隊員、無理に戦いに出る必要は無いわ」
本郷は諭すように優しく語った。金澤はそれを聞くと頭を振った。
「皆さんが危険な眼に遭っているのに、私だけ部屋でじっとしているなんて……」
「良い心掛けだ」
木元がまた笑った。本郷は右手を上げてそれを制した。
「金澤隊員、貴方は貴方の戦場が有るわ。それが偶々私達の戦場と違うだけよ」
本郷は言葉を選んだのだろう、少し時間を掛けた。
「ですが、私も戦場に出たいのです」
本郷は右手を顎の下に持って来ると、迷ったように口を開いた。
「ならば今度、私と一緒に出ましょう」
「え!?」
木元と藤木と五藤が同時に叫んだ。
「木元隊員の邪魔にはならないわ」
「でもハリアーが無いですよ」
「戸ヶ崎隊員が戻ったらクロウ3を借りるわ。良いわね、五藤隊員?」
「私は構いませんが」
五藤は迷いながらもそう返した。




