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Wing Fighter Ν  作者: 屋久堂義尊
episode13 苦戦
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序幕

 戸ヶ崎と五藤が、Νの光の後を追おうとしたのは当然の事だった。ただ、戸ヶ崎と五藤の目的は少しずつ変わって来ていたが。戸ヶ崎が勝沼に会いたいのは、彼が何の為に戦いに向かうか知りたいが故にだ。しかし五藤は違った。その違いは今は五藤にも言葉に出来ない物だった。自分の心をどういう風に捉えれば良いか分からなかった。

「戸ヶ崎隊員」

 五藤が突然、銃座に座る戸ヶ崎に口を開いた。

「何ですか、五藤隊員?」

「勝沼に会いたいと思うのはおかしな事かな?」

「え?」

 その一言に、戸ヶ崎は思わず耳を疑った。五藤の表情を見てみたかった。

「どう? 私が変なの?」

 戸ヶ崎は少し迷った。

「どういう意味でですか?」

「どういうって……」

「もしも、もしも五藤隊員が、勝沼さんの力を利用したいとか、メサイアの戦力に加えたいとか言われるのでしたら、自分は五藤隊員を非難します。そんな考えで勝沼さんに当たるのは、人の権利を奪う事ですから」

「ううん、そうじゃ無いのよ。そうじゃ……」

 戸ヶ崎は五藤の言葉に歯切れの悪さを感じた。そして同時に彼女の本心が見えなかった。

「戸ヶ崎隊員はどうして彼を信頼しているの?」

「自分を助けてくれましたから。それに、勝沼さんは、身を犠牲にして戦っています。人類の天敵であるプレデターを倒してくれて、あのΞとも戦います。それだけで、信頼するだけの価値が有ると思います」

「そっか、そうよね。メサイアがおかしいのよね」

 五藤の言葉は尻すぼみだった。

「五藤隊員も、彼の事をどう考えていらっしゃるか分からないですが、危険な存在に見えましたか?」

 五藤は迷った。そして答えた。

「ええ、そうよ」

「五藤隊員もですか……」

「ただね――」

「ただ?」

「メサイアとしては、彼は危険かもしれない。でも、五藤遥としては、彼を信じてみたいと思っているのよ」

 戸ヶ崎は、それを聞き、正直とても嬉しかった。メサイアが勝沼をあまり快く思っていないのは事実だ。それは認めなければならない。ただ、メサイアはそうは言っても、勝沼に会った事が無い人間ばかりだ。しかし彼に出会った五藤がこのように考えを変えた。それは戸ヶ崎にとって、喜ばしい事であった。

「ごめん、戯言を言った。さあ、戻りましょう。くれぐれもδポイントでは勝沼の話はしないようにね」

「はい」

 クロウ3は、δポイントへと垂直着陸するのだった。

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