序幕
プロメテウスカノンの装備は木元が主に乗り込む機体、クロウ1にまず優先された。一方状況によって使い分けるクロウ2、クロウ3には未だ装備をさせていない。一つには、プロメテウスカノンが未だ一機分しか完成されていない事も有った。
また、プロメテウスカノンにも弱点が有る。それは、燃費の悪さだ。エネルギー源はメーザーバルカンと同じだが、現在主力のハリアーMk9のエネルギー量では連射が出来ない事はおろかフルパワーで一発撃てれば良い方だった。
しかしながら、そのようなデメリットを鑑みても矢張りプロメテウスカノンの存在は強い。圧倒的な戦闘力をメサイアは手に入れたのだ。その戦果は目覚ましく、あれだけ苦戦したTAIKAROHに致命傷を与える事が出来た。
課題は山積だが、一つプレデターと戦うには必要な兵器だった。
また、もう一つ重要な事が有る。それは、プロメテウスカノンがΝに対してどれでだけの威力を発揮出来るかだ。本郷は勿論な事、片桐もΝの事は常に念頭に置いている。いや、もっと正確な言い方をすれば、恐れているのだ。片桐の場合は、もっと複雑かもしれない、彼はΝを特別扱いしなかった。そこは本郷とも違っていた、本郷は、取り敢えず、Νは他のプレデターとは異なると認識していた。しかし片桐は、Νも他のプレデターと同じ種族と考えたようだ。
「良いんじゃないですか、プレデター達はメサイアの敵。何も躊躇する事無いですよ」
木元ホムラはそう言うと、白い歯を見せて笑ったのだった。




