序幕
戸ヶ崎達メサイアが、TAIKAROHを見失ってから、一日経った。地下に潜ったTAIKAROHを探し出す方法を、メサイアはまだ持っていなかった。加えて、例えTAIKAROHを見付けた所で、今の装備で戦えるとは思えない。振動ミサイル、エネルギー爆弾、どれも決定打には成り得ない。ここに来て、メサイアは袋小路にぶち当たったのだ。
だが、本郷はそんな中で、片桐に呼び出されていた。勿論、要件等聞いていない。本郷が、司令室の扉を開くと、片桐を初め、メサイア上層部が揃っていた。
「一体、どういう事か、説明して頂けるのでしょうね?」
本郷は強気だった。
彼女の眼には、はっきり言えば、快の色は全く無かった。彼女の態度がそうなったのは、この状況下で本郷を彼女の部下達に許可も取らず、戦闘ミッションから一時退かせた事から明らかだった。
「本郷玲子隊長。苦戦しているようですね」
片桐が他人事のように口を開いた。
「はい。TAIKAROHには我々の通常兵器では効果が有りませんでした」
本郷は悔しさを噛み殺してそう報告した。
「エネルギー爆弾、振動ミサイル、メーザーバルカン、どれも最先端の兵器です。それでも効果が無かったのですね?」
片桐がゆっくりと確認した。
本郷は頷くのだった。
「では、貴方達にもう一つ兵器を与えましょう」
「兵器?」
「そう、プロメテウスカノンです」
本郷の眼の前に巨大なスクリーンが現れた。そこにハリアーMK9のCGモデルに武骨な砲頭をくっ付けたアニメーションが映し出された。
「この攻撃を受ければ、あのプレデターも葬る事が出来ましょう。試してみる価値は有るのではないですか、本郷隊長」
片桐は意地悪く笑ってみせた。
本郷はその笑みに背筋が氷る何かを感じた。




