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金髪の君  作者: 壱菜
第一章
9/11

再会*1


無事に午前中の授業が終わり昼休みに入り、今まで以上に生徒の出入りが激しくなる。



「葵、一緒にご飯食べよ」


後ろから声がかかり、筆記用具を片付ける手を止めて振り返った。

後ろの席では既にお弁当を開いている美穂がいて、早く早くと目で訴える姿にクスッと笑いが漏れた。


一時間目の休み時間、助けて貰ったお礼をしようと様子を伺っていたところ、美穂の方から声をかけてくれた。


気さくな美穂は誰とでも仲が良く、美穂を中心に友情の輪は広がり、緊張した私にとって凄く頼もしく感じた。

それに、美穂が隣にいれば銀と呼ばれた銀髪君も近くに寄ってこない。

その本人は、二時間目までは授業を受けていたが、三時間目には姿を現さなかった。


授業で使った物を全て片付け、何も乗っていない机を回転させ美穂の机と合わせる。


そこに美穂と中学からの友人、秋元 静香[アキモト シズカ]が椅子を持って来て輪に加わる。

アッキーと愛称で呼ばれる静香は、名前の通り穏やかで物静かだ。

頭の天辺にお団子をして、垂れ目で、体型がぽちゃっとしているところがまた可愛い。


和気あいあいとお弁当の中身を交換したり、美穂と私の会話をアッキーがニコニコと眺めていたりと昼休みは和やかに進む。



「そーいえば、葵ちゃんは東第三中なんだよね?」


ニコニコと話を聞いていたアッキーは、卵焼きを掴み口へ運ぶ。

綺麗な端の持ち方だなと眺めながら頷く。



「ねぇねぇ、美穂ちゃん。葵ちゃんってあの人達と同じ中学校じゃない?」


既に食べ終えた美穂へと2人の視線は動く。

ペットボトルのお茶を勢いよく飲む美穂は、口を付けたまま目元と口元を嫌そうに歪ませた。



「あー、あいつらね…」


と美穂は銀の席を一瞥する。


「葵、さっき話た内容覚えてる?」


「うん…?さっきって1時間目の休み時間のこと?」


銀が関わっている話題は、1時間目の休み時間でしか出ていない。


「そう、それ。銀に気を付けるのは身を以て体験したからわかったと思うけど、"あいつのグループには気をつけて"。って言ったのも覚えてる?」


「う、うんっ」


「そのメンバーの二人が葵と同じ中学出身の藤森 心[フジモリ シン]と後藤 一樹[ゴトウ カズキ]」


——えっ…


箸で掴んでいたブロッコリーがポトリと弁当箱へと落ちる。


今なんて…?



「あっ、噂をすれば。重役出勤のボスがご登場。」


扉の開く音と共に、教室内が騒がしくなる。

その中には昼にも関わらず「おはよう」と挨拶する声や、何オクターブ上げたのか分からないほど高く甘ったるい声できゃーきゃー騒ぐ声。


人と机を蹴散らしながら先頭を歩くのは銀髪の頭をした銀。

その後ろに続くのが、朝見かけた白に近い金髪をした彼と、赤髪で可愛らしい顔立ちの彼。


ネクタイは緩く、ワイシャツのボタンは二、三個しか止められていない乱れた服装で怠そうに歩く姿に目を見開いた。



「心さぁ、また朝から盛ってたんかー?朝から珍しく来たと思ったら保健室直行だもんなー。」


銀は狭い教室に響くほどの声でボヤく。

その言葉は真っ白になった頭の中で反響し、理解すると同時に激しい頭痛と眩暈、吐き気が起こる。


どうして…


ただ愕然と、変わりすぎてしまった彼の姿を滲む視界で見ていることしか出来なかった…





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