表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪の君  作者: 壱菜
第一章
6/11

編入*3


「教室棟と職員棟は1階と3階の渡り廊下で繋がっています。今日は、玄関と下駄箱を確認しながら教室に向かうわね。」


「はい、宜しくお願いします。」


編入先の蓮沼高校は、ごく普通の高校だ。

偏差値の高い進学校でもなく、お嬢様、お坊っちゃまが通うお金持ち校でもなく、やんちゃな生徒が殆どの不良校でもない。

創立34年の校舎は何年か前に塗り替えたが、また年季が入ってきたと校長先生が学校の歴史を話した時に零していた。


校長室で編入の挨拶が終わり、母と別れ3年S組担任の西山由香[ニシヤマ ユカ]先生の後を着いて教室へ向かう所だ。

蓮沼高校は進学校ではないが、生徒に合わせて勉強するため学力別に別れる。

編入試験は英語が満点だったためSクラスになったと、西山先生から説明を受けた。



「ここがS組の下駄箱よ。そして、高橋さんの靴はここに入れてね。」


先生は"高橋"とネームテープが貼られた下駄箱を人差し指で軽く叩く。



「玄関を出て左側に正門があります。単純な道だから道には迷わないはずよ。」


「はい。」


先生は昇降口から一歩外に出ると、正門を指差し説明をする。

その隣で話を聞きながら頭の中では校舎の地図を描く。



「さて、教し…あっ、こらぁぁーっ!早く教室に向かいなさぁーい!!」


突然、正門に向かって叫んだ先生に驚き、無意識に視線は正門へと向く。


その視線の先には、金髪の男子生徒らしき人が沢山の女子生徒に周りを囲まれていた。

こちらに向かって来てはいるが、その足取りはとてもゆっくりだ。

私の位置からは周りの女子生徒の姿しか見えず、中心にいる男子生徒は額までしか見えない。



「あっ…白に近い金髪。」


太陽の日が当たり、反射する髪の毛は自分と同じ白金。



「もう、あの子達は毎日飽きないのかしら。」


キラキラと輝く髪に目を奪われた私は、隣からの呟きに我に返り、先生に促されるまま校舎へと戻った。



「いつもは解散するように促すけど、今日は高橋さんの自己紹介もあるし、他の先生に任せるとして…さぁ、教室向かいましょう。」


先生は女子生徒の群れを背に歩きだし、その後を追い掛ける前に一瞬だけ金髪の主に視線を向けたが、やはり顔は見えなかった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ