帰国*2
「——ただいま…」
オートロック付きのドアを真新しい鍵で開け、キャリーバッグから先に玄関へ上げる。
疲れた体は、そのままリビングへと向かいソファへ頭からダイブした。
迎えに来た未来と空港からおじさんの車に乗り、まず未来の家にお邪魔をした。
久々の再会に話は盛り上がり、夕飯食べてってとおばさんに誘われるがままご飯を頂き、ついでにお風呂入っちゃいなさいと背中を押されされるがまま…
家に着いたのが夜の11時過ぎ…
二年間で積もりに積もったネタは尽きることなく、あっという間に時間は過ぎて行った。
両親以外に使う母国語に懐かしさを感じ、ついつい話し込んでしまったのだ。
「はぁ、疲れた。…」
母は明日の朝一に着く便で日本へ帰国。父は仕事が落ち着いたらこちらに飛ぶ予定だ。
それまでこのマンションには私一人。
二年前に住んでいた貸家ではなく、新しく購入したらしいマンションは何度か来ているが見慣れない。
無音の世界で、い草の香りのする畳を見ても全く愛着が湧かないが、この先住み慣れれば少しずつでも愛着が湧くだろう。
「——さむっ…」
5月に入ってもまだ少し肌寒い季節、誰もいないマンションは寒く、そして淋しい。
一人でいるこの環境に、気が滅入る。
ただでさえ、未来との再会に緊張し、更に新しい環境に不安がある私の心には重い何かがぶら下がっているら。
「よーし、明日は学校に行かないといけないし寝よっ。」
悪い方へと向かう思考を振り払い、気持ちを切り替えようと勢いよく立ち上がった。
視界に入った玄関には放置したキャリーバッグとボストンバッグ。
片付ける余裕がなく、視界に入れつつその近くにあるドアを開いた。
そこにはの青系の色で揃えた自分の部屋。
ソファ同様に倒れ込むとベッドと布団は体を優しく包み込み、自然と瞼が下がり、私は夢の中の住人となった——…