ピピロッテと夢占い
雪の降る国ノバアルビオン。
この国にはずっと明るい日がある。
夏のこの期間だけ現れるもう一つの光、太陽が地平線に沈むことなく、空は薄明かりに包まれる。
刻々と変化するその色彩は、パステル画のような柔らかなグラデーション。淡いピンク色から青へと移りゆく空の下、世界は静寂に包まれ、神秘的な雰囲気に満ちている。
その光は、大地を照らし、生命を育み、人々の心を穏やかに包み込む。
この明るい数日間はピピロッテはあやとりが出来ない。
間違って子供達が遊ばないように厳重に親たちによって保管がされる期間でもある。
この期間は朝から晩までずっと、ずーっと日が沈まない。
人々はこの時だけ神秘の力が宿る朝露を集める大事な仕事がある。
夜には湖や池の側、砦の外の広場などで大きな炎が明々と燃え盛り皆お酒を飲んで踊り明かす。この期間は飲食店や屋台はずっと開いており大人達も楽しい時間を過ごす。
夢見る乙女達はこの期間に摘んだ草花で夢占いをする。
素敵な人に出会えるかしら?
好きな人が夢に出てくるかしら?
どんな未来が待ってるかしら?
お姉様に連れられてピピロッテも朝靄の中草花を摘みとり籠にいれる。
ピピロッテは忘れないようにすぐに寝室の枕の下に草花を置く。
「夢見る乙女は枕にお花は絶対なんですって!」と言いながらワクワクと夜更かしを楽しむ。
ピピロッテも普段より夜更かしをするのが許されているが外は明るくても子供はお眠の時間に負けてベッドですやすや夢の中。
頭でぎゅうぎゅう潰される草花達は寝返りをうったりする中で散らばり枕の下に綺麗な形で残ったのはメイポーの葉『友情』とスノーランプの花『希望』の二つ。
他の花や草はベッドの下に落ちてしまっていたり、ピピロッテの赤毛に絡まって行方不明になったり、髪の毛から草花がなかなか取れなくてちょっとおめめがうるうるして涙がこぼれそう。
ピピロッテは綺麗な赤い石の付いた鍵を貰う夢を見ました。
さて、どんな未来に繋がるのか小さいピピロッテにはわかりません。
お母様やお姉様と一緒に朝ごはんを食べながらああでもない、こうでもないと夢と草花の内容を元にお話します。
お姉様は大事なこの日の為には失敗は出来ないので髪の毛はナイトキャップにしっかりしまって動かないように気をつけて寝たんですって!
教えてくれればいいのに!!
「ピピロッテにはまだ、早いわよ。」なんて言いながらルンルンしてるお姉様。
ゆで卵の殻まで見てお話しているの。
それも占い?
お姉様はいっぱい未来を占いたいのね。
今日はお祭りも連れて行ってもらえるので楽しみでワクワクドキドキしているピピロッテでした。